オー・マイ・ガアッ! 


2007.4.3 予想外に漫画的 【オー・マイ・ガアッ!】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
人生に嫌気が差した三人の人物がラスベガスのカジノである出来事を巻き起こす。カジノが舞台とあって、痺れるような博打の駆け引きが読めるものと思っていたが予想以上に漫画的だった。偶然に偶然が重なり、アラブの石油王に見初められたり。最後にはカジノが舞台ながら金がすべてではないという結論に達している。あらゆる面でご都合主義的な印象が強く、何もかもがうまく行き過ぎている。ある意味、気持ちよく読める作品だろう。ただ、緊迫感満載の賭博小説を読みたければ本作ではなくジゴクラクの方が似合っているだろう。

■ストーリー

日本史上最大のお気楽男、ファッション・メーカーの共同経営者にだまされ彼女にも逃げられた正真正銘のバカ、大前剛47歳。元スーパー・キャリア・ウーマン、現ラスベガス・ブールヴァードのコール・ガール、肉体以外のすべてを捨てた梶野理沙32歳。ベトナム戦争末期の鬼軍曹も、いまはただの飲んだくれ、エリートの妻に捨てられたジョン・キングスレイ―が、スロット・マシンで史上最高のジャック・ポットを出しちまった!だが…。

■感想
痺れるような心理戦を求めていた。しかし予想外に漫画的ですべてが都合の良いように流れているような気がした。偶然から大金を手に入れたり、アラブの石油王に気に入られたり、果ては石油王の奥さんたちから大盤振る舞いを受けたり。最終的にはすべてが良い方向に進んでいる。あまりにできすぎた展開に、なんだかありきたりな漫画を読んでいるような気分にさえなってきた。

本作はラスベガスのカジノにデビューする初心者向けの作品といってもいいのかもしれない。カジノとはこうゆうもので、カジノ内では飲み物無料だけどちゃんとカジノで遊ぶか、それなりのチップを払わなければ駄目だよ。確かにかなり新鮮な印象を受ける。カジノというと暗くダーティーなイメージがあるが、実際にはそんなことはなく、あちこちに張り巡らされた監視カメラですべてが安全に管理されていると。

そんな本作でもカジノらしさが出ていた部分はルーレットの場面だろう。老女とディーラーの駆け引き。多少毛色は違うがジゴクラクにも似た、
騙し騙されの世界を良く感じるとることができた。本来のカジノはピリピリした雰囲気でないとカジノらしくない。本作の雰囲気をイメージするとちょっと大きめなゲーセンにいるような映像が浮かんでくる。もしかしたら規模は桁違いにでかいがそのとおりなのかもしれない。

カジノに群がる人々の悲喜こもごもが分かりやすく、漫画的に描かれている。そして最後はなぜか金がすべてではないという結論に達する。カジノを舞台にしておいて、この結末には一番驚いた。



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