眠れる森 


2007.1.11 ドラマと比較しながら読む 【眠れる森】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
ドラマを見て結末をはっきりと憶えている。そんな状態でミステリーのシナリオ集をはたして楽しむことができるかどうか。半信半疑だったが結論から言うとドラマを見なければより楽しめただろうが、シナリオ集でも十分に楽しめた。やはり前回のようなロードムービー的なドラマよりもミステリーの方が一話を終わるたびに生じる強烈な引きの強さを実感することができた。結末では視聴者を欺こうとするあまり多少強引な流れになってはいるが、昔観たドラマの絵を思い出しながら読むとすんなり入り込むことができた。

■ストーリー

幼少期の記憶の一部を失くしている大庭実那子は、ある時「十五年後に、僕たちの森で会いましょう」と書かれた古い手紙を見つける。約束どおり故郷の森に行くと、直季という青年が待っていた。そして彼女は自分が一家惨殺事件の生存者だったことを思い出す…。やがて事件の真相の記憶が甦ろうとした時、彼女の目の前に現われたのは。

■感想
ドラマとシナリオ集の大きな違いは俳優の表情から読み取る部分を単純な文章で書かれているところだ。「悲しい顔をしながら」と書かれただけでその姿を頭で想像しなければならない。これは自分の頭の中で自由に想像できるメリットはある反面、細かなニュアンスが読み取れない。だんだんと記憶を取り戻しつつある実那子の変化を読み取るのもシナリオ集では難しいだろう。そういった面ではビジュアル的な助けがあるドラマが有利な部分でもある。

すでにドラマを観てしまったために犯人を知っている状態で読んだ。ミステリーとしては致命的かもしれないが、犯人を知った上で読んでも別の発見をすることができる。ドラマでは気づかなかった部分や、四苦八苦しながら無理やりミスリードさせようとしているところなど、
視聴者を欺こうと必死なのがシナリオ集からうかがえた。

結局のところ犯人は王道的なパターンだったが、そこに至るまでに多少くどいように感じた。引きの強さはそうとうなものがあるが、それも慣れてしまえば耐性がついてしまう。強烈に驚くような結末ではないが、これをテレビドラマとして初めて観たときはそれなりに衝撃を受けた。その気分を思い出しながら読むことで、昔を懐かしんだりもできた。

単純にシナリオ集としても十分楽しめるし、ミステリーとしても楽しめると思う。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
*yahoo.co.jp