青い鳥 


2007.1.5 シナリオ集には向かないか 【青い鳥】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
シナリオ集を読むのは二作目になる。前回がミステリーで強烈な引きの強さで読み進む手が止まらなかったのに比べると、いささかインパクトが足りない。実はドラマはちょこちょこと見ていたので映像は頭に残っている。それとリンクさせながら読み進めると頭に入りやすいのだが、やはり本作はシナリオ集には向かないと思った。大きな事件やミステリアスな部分があるわけでもなく、恋愛ドラマに広大な大自然が融合した映像が一番の売りだからだ。特に理森がかほりと娘の手を取って電車に乗り込むシーンなどは映像であればそのインパクトは大きいが文章にされるとちょっと雰囲気が伝わらないような気がした。シナリオ向きなかシナリオ向きではないかといえば、明らかに後者だ。人の成長物語でもある本作は実際に成長する部分を映像で見せなければその意義がないと思った。

■ストーリー

柴田理森は、生まれ育った町で鉄道員として暮らしていた。あるとき都会から憂いをおびた女性が少女と共にやって来る。地元実力者の息子に嫁ぐことになった母娘だった。やがて理森は、彼女と禁じられた恋に落ちていく…。「この町から、私を連れ出して」その一言で始まった別世界への逃亡の旅。一体どんな運命がそれぞれを待っているのか―。

■感想
禁じられた恋の逃避行。ドラマでは様々な土地で大自然に囲まれて生活する様が描かれており、逃避行の末の苦しい中でも幸せな生活というのが映像からはっきりとわかった。シナリオ集である本作でも、それは感じることができるのだが、広大な大自然を表現するにはシナリオ集ではつらいと思った。本作の売りはロードムービー的なものだと思うので、それをシナリオ集で描くのが難しいのはしょうがないことだろう。

ミステリーであればミステリー小説を読んでいるようにいったい犯人が誰なのか、そしてどのようなオチがまっているのか、気になってページをめくる手を緩めることができない。しかし本作のようにある意味のんびりとしたドラマのシナリオならば、ただ淡々と出来事を時系列に読むだけになってしまう。強烈なインパクトは残さないがのんびりとした中にも禁断の愛を貫く姿勢というのは感じることができた。

ロードムービーの醍醐味である広大な大自然。そして何章にもわかれ、そのたびに成長し歳をとる登場人物たち。それらは映像で見るようりもシナリオ集で頭の中にイメージを描く方がいいのかもしれない。現実のドラマでは多少無理がある部分も自分の頭の中ではどのようにでも変換可能だからだ。

前回はシナリオ集を読んで、多少ドラマも見てみたいという気持ちになった。本作はドラマを少し見ており、その上でシナリオ集を読んだ。同じ条件ではないので単純に比較はできないが、やはりミステリーの方がシナリオ集には向いていると思った。強烈な引きがない本作では、次に人を引き付ける何かもう一ひねりが足りないような気がしてならなかった。



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