2007.2.22 スカイ・クロラの補足的作品 【ナ・バ・テア】
■ヒトコト感想
前作では管理職の立場であったクサナギが主人公。クサナギの過去が明らかになる。定番的に前回登場したライバル扱いの人物を登場させ、クサナギとの関係が語られている。前作ほどの切れ味を感じることはできないが、シリーズ物の伏線的意味を持たせるものとしては十分その役割を果たしているだろう。戦闘シーンも多少パワーダウンし、主人公もカンナミほど魅力はない。しかし相変わらずの詩的な雰囲気とハラハラする空中でのドックファイト。衝撃度は前作の方が強かったが、本作もストーリー的には重要な位置を占めているのだろう。
■ストーリー
信じる神を持たず、メカニックと操縦桿を握る自分の腕だけを信じて、戦闘機乗りを職業に、戦争を日常に生きる子供たち。地上を厭い、空でしか笑えない「僕」は、飛ぶために生まれてきたんだ―大人になってしまった「彼」と、子供のまま永遠を生きる「僕」が紡ぐ物語
■感想
僕という一人称からはクサナギを想像することができなかった。スカイ・クロラからどれくらいさかのぼるのかわからないが、クサナギの原点を知るという意味では本作はとても重要な位置を占めているのだろう。前作と比べると切れ味が多少鈍ったような気がするが、本作が前作の伏線を補助する役目であれば十分その役割を果たしている。
子供のまま永遠に生きるクサナギ。前作のカンナミとほぼ同じような印象を受けた。しかし戦闘シーンでは前作ほど熱くなれるシーンはなかった。基本的にティーチャとの関係と新しい戦闘機の話がメインである。それはスカイ・クロラに繋がるということを示さなければならないからだろう。新しい戦闘機とティーチャが古い戦闘機にこだわる理由。今後非常に重要なキャラクターとなるであろうティーチャの性格付けを本作できっちりと行っている。
時系列的にどの程度昔のことなのか、そして永遠に生きる子供たちとはどんなものなのか。前作から続く謎はまだこの段階では明らかにされていない。作品を読む上で重要な要因だとは思うが、それを謎めいたままにし、美しい大空の映像を頭に浮かべながらドックファイトシーンを読み進めるのが良いのだろう。
熱い感情をあらわにしないパイロットたちと淡々と進む戦闘描写。全体を通して冬の朝のような冷たく肌を刺す雰囲気。子供たちがいったいどの程度の年齢なのか、そして大人びたように感じるのは冷たい雰囲気がそう思わせるのだろうか。永遠に生きる子供たちの生死感というものも垣間見ることができた。
シリーズとしてトータルで評価されるべき作品だろう。
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