モロッコで断食(ラマダーン) 


2007.12.10 断食明けの食事は最高 【モロッコで断食(ラマダーン)】

                     

評価:3
■ヒトコト感想
前作から引き続き、今度はモロッコを旅する作者。本作のメインはタイトルどおりラマダーンだ。イスラム教の習慣であるラマダーン。日本人には自分も含めて、誤解している場合が多いが、どうやら日が出ている間だけ飲み食いをしなければいいらしい。夜が明ける前に食事をし、太陽が沈むと食事をする。ただし、その間には水も飲まず、極めた人は唾さえも飲み込まないらしい。それほど徹底した国へ入る作者。当然ながら、ラマダーンがらみでの面白エピソードが多数登場することになる。

■ストーリー

モロッコ王国を旅するうち、ある日突然始まったイスラムの摩訶不思議なイベント“断食”。日が昇っている間は水もだめ、煙草もだめ、食事なんてもってのほか!空腹のまま彷徨い続けた後に辿り着いたのは、心優しきベルベル人の村だった。秘境の村で落ちた恋の行く末は!?スリルとサスペンスと笑いに満ちた“愛の断食”紀行エッセイ第三弾。

■感想
ラマダーンというと辛く苦しいというイメージと、その後の食事は相当おいしそうだという印象がある。本作を読むと、なおさらその印象は強くなった。ラマダーン明けの食事をイフタールといい、それは沢山の人と食べることが幸せに繋がるらしい。イフタールはどこも同じメニューで、本作を読む限りは毎日同じものを食べているような気がする。しかし、それが無性においしそうに思えてくるのは、作者が実際に食べてそう感じたことが、そのまま文章として現れているからだろう。

ラマダーンと共に、異国の地でのロマンスが描かれている。客観的に考えると、どうしてこうも簡単に恋することができるのかと疑問に思えるのだが、極限状態を一緒に経験したり、心細い異国の地で、コミュニケーションを取れる人物がいるということは、ことのほか心強く感じるのかもしれない。ただ、作者が冷静であるのは、異国の地でのテンションの高さが、そのまま日本で通じるかということをしっかりと判断している。そこはさすがにしたたかだと感じた。

ラマダーンという風習とモロッコという国。特にその生活環境と、人の温かさというものをしっかりと感じることができる作品だ。毛布を頭からかぶりながらも、寒さで眠れないほど過酷な環境であったり、不便なトイレであったり、衝撃的な部分もあるが、それらを凌駕するほどの感動がそこにはある。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
*yahoo.co.jp