2006.12.17 定番物の安定した強さ 【ミッションインポッシブル3】
評価:3
■ヒトコト感想
トム・クルーズの走り方には特徴がある。背筋をピンと伸ばした姿勢で走る姿がものすごく印象に残っている。走るシーンが多い宇宙戦争や本作ではそればかりが気になってしまう。本作の感想がそれだけというわけではないが、ある意味安定した決まりきった作品なので、特に目新しい物も感じない変わりに失望することもない。何もかも標準以上だが、突き抜ける何かがあるわけではない。トム・クルーズの走り方以外は、冒頭に登場するオーウェンがイーサンを脅迫するシーン。10カウントまでに白状しなければ恋人を殺すという場面の有無を言わさぬオーウェンの迫力。そこだけが鬼気迫るものを感じて見入ってしまった。
■ストーリー
第一線からしりぞき、諜報機関IMFの教官になったイーサン・ハント。だが、教え子のピンチをきっかけに、彼は現役復帰を決意する。強大な敵オーウェンが狙う"ラビットフット"の正体を探るIMFのメンバーたち。しかし、イーサンの婚約者ジュリアが誘拐されてしまう。教え子から託された最後の手がかりを元にIMF内に存在する敵の内通者を探し、なんとか婚約者を取り戻そうとするのだが・・・。
■感想
決まりきった定番の続編が辛いというのはよくわかる。シリーズのファンを大事にするあまり思い切った冒険はできない。その代わりある程度安定した需要が見込め、話題にもなる。今までのイーサンのイメージはきっちりと仕事をこなすプロというイメージがあった。しかしそれを逆手に取り、今回は恋人を大事にする男という意外性を見せようとしたのだが・・・。ここ最近のプライベートでのトム・クルーズの恋人に対するべたべたぶりを見ているので、まったく意外性は感じなかった。トム・クルーズそのままだ。
IMF内部に敵のスパイが存在すると匂わせることで、緊迫感を盛り上げている。味方かと思っていた人物が実は敵かもしれない。そして敵かと思っていた人物が実は味方かもしれない。迷走するイーサン。本作の見所としてはスパイ映画らしくちょこちょこと登場するハイテク機器もそうだが、実はアナログ的なスパイ自身の腕の見せ所の場面だ。肉体を駆使したり、変装したり。前シリーズから引き続きだがこの部分は十分楽しむことができる。
スパイアクションと共にもう一つの見所は敵との感情のぶつかりあいだ。お互いにそれぞれ相手に囚われの身となる場面があるのだが、両方とも「絶対にお前を殺してやる」という激しい憎悪の感情をむき出しにしている。オーウェンは飛行機から落とされようとする場面で、イーサンは恋人を殺されそうになる場面で。それぞれの勢いはたしかにすごいのだが、真に恐怖を感じたのはオーウェンの方かもしれない。根拠のない自信のように感じられるが、あれほど自信満々に言われてしまうとたとえ有利な状況にあっても恐ろしくなってしまう。それほどの雰囲気は確かにあった。
見るべき部分は沢山あり、面白いと思う。しかしわりとありきたりなのは否めない。
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