ロード・オブ・ウォー


2006.1.25 知られざる武器商人の世界 【ロード・オブ・ウォー】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
世界の武器輸出国トップ5は国連安保常任理事国である」この言葉に尽きる。発展途上国での民族紛争や内戦を誘発している原因となる武器商人にスポットが当てられている。非常に新しさを感じると共に、リアリティある現実を改めて認識してしまった。武器商人であるユーリーをニコラス・ケイジが演じることによってクールなのだが哀愁漂う人物になっている。武器商人というと血も涙もないように感じるが、ユーリーはどこか人間味にあふれており、自分のやっていることの重大さに気づきながらもやめることができない男をとてもうまく演じている。本作は一概に武器商人が全て悪いという流れにはなっていないのだが、現実問題として武器商人というものが存在しその被害者は計り知れないということを知るにはとても良い作品かもしれにない。

■ストーリー

「世界の武器輸出国トップ5は、国連安保常任理事国である」ウクライナからNYに移住したユーリー(ニコラス・ケイジ)は、弟と武器売買ビジネスを開始する。最初はうまくいかなかったビジネスもソ蓮崩壊から起動に乗り出し中東、アフリカなどにその影響範囲を広めていく。順風万班なユーリーはその素性を隠したまま、初恋の美女エヴァと結ばれ、やがて巨額の富を得るが、武器商人を追っているインターポールのジャックに追い詰められていく。世界中の内戦やテロの背後で暗躍する武器商人の存在に焦点をあてた社会派ドラマ。実在する複数の人物をもとに生み出された男の波乱万丈の半生を語り明かす。

■感想
最近見た、ホテル・ルワンダもそうなのだが発展途上国では武器を生産することが難しい、そんな国で内戦が頻発するにはやはり武器商人の暗躍があるからだろう。戦争をするから武器が必要であると共に、武器があるから殺戮が起こるというパターンもあるだろう。そう考えると武器商人の罪というのはとても重く感じられるのだが、もし武器商人が存在しなければ全ての戦争がなくなるのだろうか?決してなくならないと思う。むしろ糾弾すべきは武器商人よりも武器を製造している五大国なのだろう。

この仕組みでいくと、アメリカなどは自国で武器を生産し、それを武器商人に売りさばかせ、敵を作り、それを自分達で殲滅する。おそらくこの繰り返しなのだろう。この仕組みで一番儲けるのは武器を製造している者と武器商人だけだ。この仕組みを変えないかぎり、武器商人がいなくなろうが、変わらないと思う。

ドキュメンタリータッチなので主役のユーリーをもっとクールな人物が演じると、血も涙も無いまさに悪役としか考えられない人物になってしまうだろう。それをニコラスケイジが演じることによって、どこか憎めない、表情には常に悲しさをにじみ出しているような雰囲気から武器商人が全て悪いわけではないという言葉にもうなずくことができる。また武器商人にも家族がいて、守るべきものがあり、独裁者との人間関係の苦悩や葛藤が描かれており人間味あふれる人物という印象を持つことができる。

武器商人という存在自体を知らない人は多いと思うが、本作を見ることでそれを認識し、中東やアフリカ地域での戦争の一旦は先進国に原因があるということを理解するにはとても良い作品かもしれない。



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