2006.3.22 奇跡をこの手に 【リトル・ランナー】
評価:3
■ヒトコト感想
自分が奇跡を起こすことができれば、母親にも奇跡が起こる。自分が辛く苦しいことをやり遂げれば奇跡は起こる。これは現実を知らない子供だからこそ思うことで、まあ誰でも幼いころには思ったことだろう。しかし、実際苦しいことをやり遂げられるかというと、中々そうはいかない。一般的に最も辛く苦しいと思われているマラソンに挑戦する少年の気持ちは痛いほどよく分かる。そんな悲しい物語のはずなのに、作中には悲壮感は微塵も漂っていない。
■ストーリー
カトリック学校に通う14歳のラルフ。いたずら好きで異性に対する好奇心一杯の少年だった。ある日母親が昏睡状態に陥り、“奇跡が起きない限り目覚めない”と医者に宣告される。どうやって奇跡を起こせばいいのかわからず、マラソンを走りきることは奇跡だと言われ真に受けてしまう。やがて彼は自ら奇跡を起こすべく、ボストンマラソンに参加し、最年少での優勝を目指すことに。
■感想
いたずら好きで好奇心旺盛なラルフ。しかしその生い立ちを知ると、とてもそこまで明るくふるまえるような境遇ではない。全編とおして物語としては昏睡状態の母親に奇跡を起こすためというシリアスな物語のはずだがラルフのキャラクターのおかげでちょっとコメディチックな明るい仕上がりになっている。
元有望なマラソン選手の牧師や親友の協力。それらがあいまってまったくマラソン初心者であるラルフが走れるようになる。ここまでは予想できるのだが、さすがにマラソンで大人を押しのけて優勝争いに加わるというのはどうなのだろうか。いくら練習をがんばったからといって14歳の子供がそこまでの力を発揮することができるのか。そこまで大げさにせずとも、単純にマラソンを完走できたということで終わっていてもよいような気がした。
昏睡状態の母親に対するラルフの献身的というべきかわからないが、当然いつものラルフと違いそこだけはシリアスで泣かせる場面になる。ラルフの普段のキャラからはまるっきり違うその落差から普段のラルフが空元気であり、悲しみを紛らわすためにマラソンをやっているのだということも感じた。
奇跡は起こるかわからないが、自分で奇跡を起こそうという強い気持ちがなんでもよい方向に導く何かがあるのかもしれない。
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