2005.11.15 新シリーズの始まりとしては申し分ない 【黒猫の三角】
■ヒトコト感想
新シリーズともなると一からキャラクター紹介をしなければならず、どうしても内容は薄くなりがちだ。
本作の前の短編集で一部のキャラクターが登場し、
それがかなり個性的だったので本作に対する期待も大きかった。
率直な感想としては、マンマと作者の意図する方向に騙されてしまった。
それと短編集に登場したキャラクターに関してもおもいっきりだまされてしまった。
やはりキャラクター付けが重要だったのか、ミステリー的にはたいしたことはなかったのだが、
読者にそれぞれのキャラクターを印象づけるには十分過ぎるほど効果があったと思う。
そういった意味ではシリーズの初回としては成功した部類に入るだろう。
■ストーリー
1年に一度決まったルールの元で起こる殺人。今年のターゲットなのか、6月6日、
44歳になる小田原静子に脅迫めいた手紙が届いた。
探偵・保呂草は依頼を受け「阿漕荘」に住む面々と桜鳴六画邸(おうめいろっかくてい)を監視するが、
衆人環視の密室で静子は殺されてしまう。
■感想
まず、短編集でも登場した小鳥遊はずっと女の子だと思っていた。
もしかしたら短編作品でも男というのを臭わす部分があったのかもしれないが
それにまったく気が付かなかった。もう一人の香具山についてはどうも話し方が
気に入らなくてちょっと拒否反応をおこしていたのだが
本作を読み終わる頃にはそれに慣れてくるから不思議だ。
これがシリーズ物として続ける為の秘訣なのかもしれない。
紅子に関しては特別な印象もなく、まあ無口ということでS&Mシリーズの犀川に近い役割を
果たすのかなという程度だ。
本作の中で一番気に入ったのは保呂草なのだがこのキャラクターの言動といい
行動といいかなり自分の中では心に響くものがあった。
しかし本作ではかなり重要人物であるために結末間近ではかなり驚かされた。
まさかそのままこのシリーズを続けることができるのか?
もしくはせっかくのお気に入りのキャラクターである保呂草は本作のみの登場なのかと思ったりもした。
まあ、最後にはどんでん返しが待っていて僕の心配は杞憂に終わったのだが、
どっちにしてもあのキャラクターがなくなってしまうのには変わりないと思っている。
もしかしたこのまま保呂草は本作と同じキャラクターで進めるのだろうか??
実際問題としては同じ個性というのはあり得ないのでこれから先のシリーズでは
何か明確な違いが現れるのだろうがちょっと本作の保呂草が読むことができないのは残念かもしれない。
シリーズの初回としては十分役割をはたしており、それでいてこれから先のシリーズを読ませるだけの
主要キャラクターの個性があり、すぐにでも次回作が読みたくなってしまった。
第一印象的にはS&Mシリーズよりも気に入っているかもしれない。
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