今夜はパラシュート博物館へ 


2005.12.19 キャラクターを懐かしむ 【今夜はパラシュート博物館へ】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
短編集の良いところは、終わったシリーズのキャラクターが参加できることかもしれない。
前シリーズであるS&Mシリーズの萌絵や犀川、現Vシリーズの小鳥遊などが登場する。
中には競演したりする作品もある。しかし、それだけのことで、それが特別面白いとかいうのは無い。
オールスターものというのか、もしくは外伝というのか、
様々なキャラクターを登場させようとして無理したのだろうか。
非常にバラエティに富んだ作品が多いのだが、
キャラクターを懐かしむだけ
になってしまった。いつもの森作品とは毛色が違う物もいくつかある。

■ストーリー
N大学医学部に在籍する小鳥遊練無(たかなしねりな)は、
構内で出会った風変わりなお嬢様に誘われて「ぶるぶる人形を追跡する会」に参加した。
大学に出没する踊る紙人形を観察し、謎を解こうというのだが……。
不可思議な謎と魅力的な謎解きに満ちた「ぶるぶる人形にうってつけの夜」ほか、
魅惑の7編を収録した珠玉の第3短編集。

■感想
「どちらかが魔女」「ぶるぶる人形にうってつけの夜」などに久しぶりに登場する萌絵。
しかしどちらもパワー不足は否めない。やはりどうしても短編は長編と比べるとパワーダウンしてしまうのは
しょうがないとして過去の森作品の短編集では地球儀のスライス
非常に中身の濃いすばらしい作品が多かった印象があったので
本作のあまりに読者に媚びているというか、人気キャラクターを再登場させましたよ的
なものはイマイチだった。

それ以外の作品も今までの森作品とは一風変わった感じの物語が多く、
読み終わっても釈然としないこともあった。
「卒業文集」なども、果たしてこれは感動を狙っていたのか、
それとも僕が気づいていないだけで裏には隠された何かがあったのだろうか?
読み終わってから、「あれ、これで終わり?」という気持ち沸いてきてしまった。

最後には本作のために書き下ろされた「素敵な模型屋さん」があるのだが、
これだけは作者の情熱というか模型に対する気持ちがまざまざとあらわれ、
読み手としてはかなりマニアックな用語や言葉が沢山登場するので全てが
すんなり理解できるとは言わないがそれがまた良いのかもしれない。
難しいウンチクを得意げに述べているわけではなく、純粋に模型が好きだという気持ちが表れている。
それを読むと、実際模型に対してまったく興味がない人にとっても、
なにげなくウィンドウにディプレイされている模型を見ると
本作のことを思い出して、ちょっと足を止めて眺めて見たりするかもしれない。

相変わらず、タイトルと作品がどうリンクしているかは不明だ。



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