恋人よ 上 


2007.1.24 昼ドラのような展開 【恋人よ 上】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
二組の夫婦がお隣さんで、なおかつダブル不倫。ピークを過ぎた俳優が出演する昼ドラのように主婦が喜ぶ展開だ。昼ドラ的イメージにぴったりはまり、神のいたずらかさまざまな登場人物たちがこの二組の夫婦に絡んでくる。明らかに今後幸せな結末は待っていないと予想できる。しかしどのようなプロセスで家庭が崩壊していくのか、それも気になってくる。結末間際に訪れる登場人物勢ぞろいでのパーティーの場面では昼ドラを楽しむ主婦のようにドキドキした。

■ストーリー

お腹の子供の父親はあなたではないかもと告げられた航平。夫となる男を愛しきれぬまま結婚式を挙げようとする愛永。二人の男女はそれぞれの結婚式の直前に運命的に出会う。ホテルの一室で交わした二秒のキス。二人は不確かな再会を誓って、それぞれの式にのぞんだ。それから半年後、愛永夫婦が航平たちの隣りに偶然、越してきた―。

■感想
まさにごきげんようの後に始まるドラマのようだ。二組の夫婦が織り成すドラマ。最初は夫婦それぞれの問題かと思いきや、その問題の対象となる相手が実はお隣さんだった。この実はがわかるのが本作の中盤あたりなので、そこではさすがに驚かされた。そこから続けざまに次々と二組の夫婦に絡む人物が登場する。ご都合主義かもしれないが、こうやって全てが過不足なく絡むというのは心地良い。

上巻としてはこれ以上ないほどあらゆる伏線が敷かれている。航平の子供の血液型だったり、愛永の病気だったり。この伏線を考えると明らかに下巻は不幸な結末になるのが予想できる。いったいどのようなプロセスで不幸になり、最後はどうやって全てを丸くおさめるのか。ダブル不倫と言えなくもない状況で最後まで緊張感を保つことができるのか。気になる部分は尽きない。

作者が脚本家ということもあり、上巻の終わらせ方は唸らせられた。結局子供はどっちの男の子供なのだろうか。そして二組の夫婦の行く末は・・・。まさに昼ドラだ。ただ昼ドラ独特のドロドロとした印象はなく、
全体的にさっぱりとしている。ミステリー的なものや恋愛的なものを求めるとまた違ったイメージをもつかもしれないが、ドラマを観るような感覚で読むとすんなりと読み進めることができる。

下巻の結末は予想を裏切ることになるのか、それとも誰もが予想するとおりになるのか。

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