キサラギ


2007.9.7 脚本がすばらしすぎる 【キサラギ】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
面白い。まず、脚本がすばらしい。ワンシチュエーションものとしては非常に優れていると思う。飽きずに最後まで集中して楽しむことができた。しかし、これを映画でやる必要があったのだろうか。ものすごく舞台向きの作品だと感じた。個性的な俳優を起用し、宣伝にも金をかけ、それなりに力を入れているのだろう。確かに面白いし、間違いはない。しかし、どうもこの手の作品は、低予算で無名の俳優たちが演じ、口コミで話題になってこそ価値があるような気がした。面白いのは確かなのだが、なんだか腑に落ちない気分になった。

■ストーリー

知る人ぞ知るアイドル如月ミキが自殺をして一年が経ち、一周忌追悼会に集まった5人の男たち―家元、オダユージ、スネーク、安男、イチゴ娘。ファンサイトの常連である彼らはそこで初めて顔を合わせた。それぞれオタク心を通わせながら、彼女の思い出話に花を咲かせる。誰しもが「自殺なんかする娘じゃない」と思っていた。そして誰かが「彼女は殺されたんだ」と。この発言をきっかけに、男たちの侃々諤々の推理が始まった…。

■感想
ワンシチュエーションといえば、笑の大学などもそうだろう。それと比べると本作の方が確実に面白いし、優れていると思う。俳優たちの個性を活かした演技とアドリブともいえる絶妙な掛け合い。全てが計算されつくしたモノなのだろうが、それを感じさせないライブ感がある。最初はなんだが気の抜けた学芸会的な雰囲気かと思ったが、十分もすればその雰囲気に飲み込まれてしまう。

いつの間にか、登場人物と同じように「どのようにして如月ミキが死んだのか」ということを推理しようとする自分がいた。次々と沸いて出てくる状況証拠を頭の中で整理しながら、物語の結末を先読みしようと必死になっていた。この時点で、既に物語にはまり込んでいた証拠だろう。次々と予想を裏切られ、たっぷりと登場する伏線を全て使い尽くしている。この脚本は見事としか言いようが無い。合間にはさまれている、ちょっとした笑いも良いアクセントになっている。

このテンポでこの作品を最後まで作り続け、そして映画として成り立たせたのはすばらしいと思う。無理やり映画として見せるため、無駄な映像を組みこんだり、大げさな演出を入れたりもせず、あくまでワンシチュエーションにこだわったのもすばらしいと思う。これがどれくらい評価されるのかわからないが、僕自身の中では
かなりの高評価だ。

映画でやる意味というのを考えてしまうとダメだ。ただ、純粋に作品を楽しむというのが正しいのだろう。



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