キラレ×キラレ 


2007.11.10 携帯小説世代向けか? 【キラレ×キラレ】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
前作同様なんてことない普通のミステリーと言えるかもしれない。ただ、普通のミステリーの中でもわりと好きな部類には入ると思う。よけいな解説もなく、ただ真っ直ぐにストーリーを進めていく。シンプルで寄り道しない作りは、重厚な作品とはならないまでも、さらりと読めるとういメリットはある。もしかしたら、携帯小説世代には大うけするような構成なのかもしれない。王道的なミステリーで、特別気になる部分もない。ただ、森博嗣の作品としては少し物足りなさは感じてしまう。

■ストーリー

満員電車の車内で、30代の女性がナイフのようなもので襲われる事件が連続する。「探偵」鷹知祐一朗と小川令子は被害者が同じクリニックに通う事実をつきとめるが、その矢先、新たな事件が発生し、殺人事件へと発展する-。

■感想
シリーズの魅力といえば、なんといってもキャラクターの魅力だろう。前回から引き続き同じキャラクターが活躍するのだが…、どうもインパクトに欠ける。頭の中にそのキャラクターの絵を思い浮かべることができない。今までの資産を食い潰すかのごとく、過去のシリーズのキャラクターが登場する。そうなってくると、当然、昔からのファンは喜ぶ。しかし、内容で喜ぶというのには、程遠いような気がした。

ミステリー的な部分で言えば、王道というか、しっかりとした作りとなっている。犯人をミスリードしたり、不思議な事件であったり。ただ、どうしても、背後には真賀田四季の影がちらついているような気がしてならない。ミステリーを読み進めるドキドキ感と、すべてが明らかになった時のスッキリ感は少し弱い気がした。結局は切り裂き魔がどのようにして実行したのかは、はっきりと明言されていない。

今までのシリーズならば、無口で事件に無関心でありながら、すべてを見透かしているような人物がいたが、本作ではその役目がいない。近い人物はいるが、決定的ではない。頭脳明晰で、すべてを達観したような、ちょっと面白みのない人物がでてきてこそ、森作品だと思っているので、ちょっとこのシリーズは期待はずれなのかもしれない。

恐らくまだまだ続くだろう本シリーズ。どこまで読み続けるかわからないが、飽きるか、もしくは失望するまでは読み続けようと思う。



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