イナイXイナイ 森博嗣


2007.8.16 新シリーズスタート? 【イナイXイナイ】

                     
■ヒトコト感想
Gシリーズはもう終わったのだろうか?恐らくまだ続いているのだろうが、いきなりの新シリーズだ。第一弾として、新しいキャラクターが登場し、それなりに新鮮味はあるのだが、結局はなんてことない普通の作品でしかない。別にこれといった伏線もなく、大きな謎もない。ただ、過去の登場人物の名前が多少出てくる程度で、他には特に何もない。ミステリーとしてどうなのかと問われると、普通としか言いようがない。まだ、序章だからと言われればそれまでだが、過去の作品は、何か壮大な裏がありそうな雰囲気をもっていたが、本シリーズでは一切それらを感じることができない。今後が少し不安になった。

■ストーリー

「私の兄を捜していただきたいのです」美術品鑑定を生業とする椙田事務所を訪れた黒衣の美人・佐竹千鶴はこう切り出した。都心の一等地に佇立する広大な佐竹屋敷、美しき 双子、数十年来、地下牢に閉じ込められているという行方不明の兄・鎮夫。そして自ら“探偵”を名乗る男が登場する。 旧家で渦巻く凄惨な事件の香り…。 新章開幕、Xシリーズ第1弾。

■感想
行方不明の兄を探す。そしてタイトルがイナイ×イナイ。恐らくこのXシリーズは、この手のタイトルで統一するのだろう。そして、お決まりのように真賀田四季が関わってくるのだろう。今はまだ、過去の登場人物の名前しか出てきていないが、そのうち何かしら重要なキャラクターとして登場してくることだろう。シリーズの序盤として、メインキャラクターの紹介作品という位置づけであってもインパクトが弱い。ただ普通のミステリーとして終わってしまっている。

Gシリーズのキャラクターでさえ、いまいち定着していないのに、また新たなシリーズで新たなメインキャラクターが登場するのか。S&MシリーズとVシリーズのキャラクターだけで十分のような気がするが、そうもいかないのだろう。ある意味森作品としては定番となった密室モノともいえるが、不思議感は弱い。今までのように、だれが、どのようにして、という疑問も特にわいてこなかった。結末を読んでも、ふーんという感想しかもつことがなかった。

まだ、新シリーズとして定着してないのだろうが、キャラクターを頭に思い浮かべることができなかった。どうしても曖昧なGシリーズとかぶってしまう。シリーズの魅力はひとえに、キャラクターの魅力だと思っている。S&Mシリーズの犀川と萌絵。Vシリーズの紅子や保呂草。この二つのシリーズはすばらしいと思う。しかし、Gシリーズはいまいちぼんやりとしたキャラクターだった、萌絵が活躍したというのもあるのだろう。このままでは、Xシリーズも同じような道をたどりそうな気がしてきた。

まだ、シリーズは始まったばかりなので評価できないのはしょうがないのだろうか。しかし、普通の作家ならば、単体で評価されるところを、シリーズで評価されるというのは、作者がいかに大物かという証明でもある。



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