きんぴか2 血まみれのマリア 


2008.2.12 超個性的な主人公たち 【きんぴか2 血まみれのマリア】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
個性のかたまりのような三人。前作がどこか逆恨み的で協力して悪をつぶすという流れであったとしたら、本作はより身近に、三人のまわりでのちょっとした出来事を描いているようだ。女っけがなかった前作に比べて、本作はあのピスケンが恋をする。等身大といえば聞こえがいいが、やはり個性のかたまりである三人の日常は一筋縄ではいかない。ヤクザ、自衛官、大蔵官僚。それぞれがそれぞれに特徴的なエピソードをもち、暴れまわる。その中で最も印象深いのはやはり表題にもなっている「血まみれのマリア」だろう。恋する二人が中年であるというのも、また趣きがあると言えるのかもしない。

■ストーリー

ピスケンが恋をした。お相手は、「血まみれのマリア」こと阿部まりあ。泣く子も黙る救急救命センターの看護婦長で、今まさに息絶えんとする重体患者を救うこと数知れず、の奇跡を呼ぶ女だ。あまりに意外な組み合わせに、驚きのあまり絶句する軍曹とヒデさん。一途で不器用なピスケンは、マリアのもとに通いつめるが…。

■感想
前作ほどスケールの大きさは感じない。どこかご近所的で、身近なものがテーマとなっているような気がした。やってることは悪いのに、どこか正義の雰囲気を感じるのは、三人の男たちが義理と人情に厚く、困っている人を放っておけない性格だからだろう。ほんの少しだけ私利私欲に走りながらも、どこかつめが甘いあたりが好感がもてる部分でもある。特に、元ヤクザと元自衛官はとてもいい味をだしている。この二人がいるおかげで、なんでもないエピソードがとてもユーモラスなものに変化していく。

前作は女っけのなさを感想としてあげていたが、本作では早速、女っけが登場する。しかし、イメージしていたものとは大分異なっている。まさか、三人の中で恋をする者が登場するとは思わなかった。甘い恋の物語を予想しながらも、恋する二人が中年であり、そして二人とも普通ではない生活をしているので、当然物語としては面白くなる。陰惨な事件や、極悪人を退治しカタルシスを得るような場面はない。メインとなる人物を中心に、その人物に由来する出来事が起きるので、当然、三者三様となっている。

この三人の中で一番キャラ立ちしているのは、ダントツで軍曹こと大河原勲だろう。典型的な筋肉バカで時代錯誤もいいところなのだが、それをまったく気にしない超マイペースな元自衛官。やることに筋は通っているのだが、なんに対しても極端すぎる。しかし、それが面白さを通り越して、なんだかやさしい気持ちで見守りたくなるから不思議だ。おそらく、一心不乱に自分の信念を貫く姿に、どこか母性本能をくすぐらせる何かを持ち合わせているのだろうか。極端だが、共感できる部分もあった。

前作に比べて爽快感は少ないが、等身大の三人を垣間見ることができた気がした。



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