2008.6.23 そこまでしてカジノに行きたいか 【カッシーノ!2】 HOME
評価:3
■ヒトコト感想
前作がヨーロッパのセレブ的雰囲気だとしたら、本作はセレブがあえて珍しいもの見たさに中東やアフリカのカジノにくり出したというような感じだろうか。あえて危険な地域へ乗り込む必然性はない。あるのは作品としての面白さを求めるためだろう。もしくは、筋金入りのギャンブル好きなので、世界中のカジノを制覇しなければすまない性格なのか…。もしかしたら、その両方かもしれない。外貨を稼ぐことを目的とした発展途上国のカジノ。目からうろこのルールが存在し、憤慨する作者。前作から引き続きカジノで儲けたという描写は無い。いくらあごあし付きの旅行でホテルがスイートだとしても、カジノで相当量の出費をしている限りは、心底ギャンブルが好きな証拠なのだろう。貧乏旅行とは対極にある本作。うらやましいかぎりだ。
■ストーリー
カイロ、ケープタウン、マラケシュ、そしてラスベガス。ベストセラー「鉄道員(ぽっぽや)」などの作品で知られる浅田次郎が、大人の遊びとしての「カジノ」の魅力をあますところなく描く。
■感想
本作で訪れる国々にカジノが存在することに多少驚いた。南アフリカなど、それほど情勢が安定しているわけではないのに、しっかりとセレブ向けのカジノが存在するようだ。正直、ギャンブルに興味がない人にとっては、なぜ観光もせずにひたすら建物の中で何時間も座り続けるのだろうか疑問に思うだろう。それも大量の金を消費してまで。ギャンブルをやらない人にとっては、あのアドレナリンが放出される瞬間の気持ちよさはわからないだろう。
本作では前作ほどセレブな雰囲気を感じることなく、かといってカジノの魅力を存分にアピールしているわけでもない。売れっ子作家が、ただカジノへ行くためだけに強行日程を組み、時差ぼけ、寝不足なんのその。自分の欲望に素直になり、あますことなくひたすらカジノをし続ける。ただ、前作と決定的に違うのは、国による変化の大きさだ。普通ではイメージできない中東やアフリカのカジノ。勝手な前時代的偏見からすると、いまだに南アフリカでは、槍をもって葉っぱを腰に巻いていると思っているので、イメージできるはずがない。
どの世界にもギャンブルは存在し、そこに訪れるのは一般市民ではない。貧富の差が如実に現れるはずのカジノ。本作は国の情勢や宗教問題、貧富の差などは、ほとんど無視してひたすらカジノ周辺の事情を余すことなく語っている。真のカジノ好きしか絶対に訪れないようなカジノ。世界の素晴らしい観光地を無視してまで入り浸る価値があるとは思わないが、それは人ぞれぞれなのだろう。
カジノ好きでないと、なんてもったいないことを…。と最初から最後まで感じ続けるだろう。
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