2008.2.7 セレブのカジノめぐり 【カッシーノ!】
評価:3
■ヒトコト感想
作者お得意の博打モノ。と言っても今までのように自分の経験を赤裸々に語りながら、博打の極意を伝授しているのではなく、単純に世界中のカジノを訪れ、出来事を語るというような流れだ。世界のカジノというのはどんなもので、どれだけ敷居が高いのか。当然大衆的なカジノもあれば、セレブ御用達のカジノもある。本作を読むと、カジノの魅力というよりも、世界を旅行し自由気ままにカジノを訪れることができる、そのセレブ感をうらやむ気持ちしかわいてこなかった。ヨーロッパ各地のカジノをめぐるなど、我々庶民にはまったく考えられないことだ。さらには、カジノに謙譲する金額も少しでおさまるわけがない。いつかそんな旅をしてみたい。
■ストーリー
作家浅田次郎氏が私財をことごとく投じ、ヨーロッパの名だたるカジノに立ち向かった!一人の男の挑戦の物語であり、カジノという文化を通して、ヨーロッパの国々の文化が透かして読めてくるという壮大な冒険の物語である。
■感想
世界には想像を絶するような金持ちも存在するのだろう。小説家で大成している作者でさえも、まったく手出しできないレートのルーレットや、一晩に一億用意しなければ遊ぶことができない会員専用のカジノなど、大衆には到底考えられないような世界がそこにはある。もちろん、作者は大衆目線で語ってくれるので、共感がもてるのだが、そうは言っても作者のセレブ具合も相当なものだと感じた。ある種、旅モノのように感じる本作。本質的にカジノ周辺の描写しか描かれていないが、それでも十分ヨーロッパの素晴らしい雰囲気は伝わってきた。カジノを通してこそ伝わる雰囲気なのかもしれない。
勝手なイメージだが、ラスベガスのカジノよりもヨーロッパのカジノの方が近寄りがたい気がした。単純なイメージで、実際は違うのかもしれないが、にわか成金はラスベガスへ行き、本当のセレブはヨーロッパのカジノに金を落としていく。作中には文章と共に、印象深い写真が多数収録されている。その写真を見る限り、絢爛豪華でごてごてしたカジノやホテルというわけではなく、自然な部分は残しながら雄大で余裕のある、本当のセレブが通うという趣のようなものをヒシヒシと写真から感じた。
成功者の証のようなヨーロッパのカジノ。たとえ食べ物がまずくても、すべてが至れり尽くせりの中では満足感の方が強いのだろう。日本では決して感じることのできない雄大な自然と、ゲストをもてなすありとあらゆる趣向が凝らされたホテル。なんだか今まで旅モノとしては貧乏旅行的なものばかり読んでいたので、うらやましく感じてしまった。
自分も将来、もし成功者となったら同じようなことをしてみたいなんて夢を想像してしまう。それほど本作のカジノとその土地の雰囲気は魅力的なモノだ。
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