007 カジノ・ロワイヤル


2007.1.8 魅力的な新しいボンド 【007 カジノ・ロワイヤル】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
007シリーズはまったく観たことがない。ただイメージとしてあるのはお洒落なスパイが颯爽と敵を倒すということだけだ。決まりきった展開に魅力を感じなかったので今まで観なかったが、本作はアクション映画としてすばらしいものになっている。主演のダニエル・クレイグは今までのすかしたボンドとは違い、肉体派であり無鉄砲。そして根拠のない自信ときっとやり遂げてくれるという期待感。最初の激しいアクションシーンと、任務遂行のためには有無を言わさぬ雰囲気。そしてその外見から冷酷非道なサイボーグのような印象をあたえる顔つき。今までの007シリーズとはあきらかに異なっているが、僕は絶対に今の方が良いと思った。おそらくこのシリーズが続けば観続けるだろう。

■ストーリー

暗殺の仕事を2度成功させたジェームズ・ボンドは“00(ダブルオー)”の地位に昇格し、最初の任務で、世界中のテロリストの資金源となっている“死の商人”ル・シッフルの存在を突き止める。高額掛金のポーカーで資金を稼ごうとするル・シッフルと勝負するため、モンテネグロに向かうボンドの前に、国家予算である掛金1500万ドルの監視役として財務省から送り込まれた美貌の女性ヴェスパー・リンドが現れる。

■感想
前半の派手なアクションから一転して中盤から後半にかけてのカジノでの緊迫した心理戦。ガチャガチャとした騒がしいアクションだけでなく、緊迫感あふれる展開には目が離せない。特にダニエル・クレイグの筋肉隆々ではないが、実用的な筋肉。そして激しいアクションにも苦しい顔一つ見せないある意味鉄の仮面のような無表情さ。任務遂行のためには手段を選らばない冷酷非道さと、自信満々の表情。綺麗な顔つきでスマートに任務を遂行するボンドよりも泥臭く、苦労しながらもそんなことはなんてことないというような表情をするボンドのほうが人間味が溢れていて良いと思った。

高額掛金でのポーカーシーンでは、つい最近読んだジゴクラクを彷彿とさせるようなぴりぴりとした緊迫感。無表情ながらも、かすかな表情で緊張感をみなぎらせているボンド。ただのドンパチよりも、ポーカーで相手をオケラにするボンドというのが良い。それもスマートではなく、泥臭くバタバタとあがきながら挑戦する姿が、
新しいボンドとしてふさわしいように思えた。冷酷非道な氷のような表情がかすかにゆがむ場面や、苦しむ場面。自信満々な表情との落差もまた楽しめる場面でもある。

謎の黒幕”M”やボンドをサポートする仲間たち。仲間たちを信頼しながらも任務を遂行するためには独断で動く。そして成し遂げる。完璧な男前とはいえないダニエル・クレイグが演ずるボンドは泥臭さを持ち合わせながらも鋼のような硬い心を持っているような気がした。女性に対してもどこか硬派な雰囲気をもっており、今までイメージしていたボンドのスタイルとはあきらかに違うかもしれないが、これはこれでありだと思う。

007シリーズを観たことがないので単純に過去のシリーズとの比較はできない。しかし確実に感じたのは本作は単体としても十分楽しめる作品だということだ。シリーズを観ていればまた別の楽しみ方があるのかもしれないが、新しいボンドとしての印象は僕の中ではもはやダニエル・クレイグしかない。



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