ジャーヘッド


2006.3.12 つらいけどこれ戦争なのよね 【ジャーヘッド】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
リアルな戦争映画というとプライベートライアンなどが上げられると思う。本作はそれとはまた違った意味でリアルだ。戦争映画というと激しい銃撃戦をドンパチと繰り返し、残虐な場面が多数登場し、戦争の悲惨さを訴えかけるのだろう、しかしそれが全てではない、本作のようにひたすら訓練や待機を繰り返すこともあるのだ。戦争映画のイメージを変える新しい試みかもしれない。結局は敵兵を誰一人殺していない主人公達。本当の戦争ではそんなことも普通なのかもしれない。

■ストーリー

祖父が海兵隊出身であり、父がベトナム戦争休暇中に生まれた、ひとりの青年アンソニー・スオフォード。18歳になった彼も、一人前になるという憧れと共に、彼女を故郷に残し、何の迷いもなく海兵隊に入隊した。しかし、現実は厳しかった。スオフォードに待っていたのは、虐待と変わらない新兵訓練。とめどなく浴びせられる教官の汚い言葉と肉体的苦痛。何とか乗り越えたスオフォード。この先にこそ、得体の知れない苦悩が待っていることも知らずに…。

■感想
アメリカでは退役軍人は地位が高く尊敬されているようだ。国民性なのか、自国を守る兵士を英雄視するのもうなずける。しかし、実際に入隊するとその厳しさは想像を絶するものなのだろう。今までの戦争映画とは一線を画した作品。皆が憧れるような英雄が登場するわけでもなく、危機に瀕した仲間を助けだすような心躍る場面があるわけでもない。兵士の苦悩と戦争での役割分担を思い知らされる。

湾岸戦争という比較的新しい戦争であり、ハイテクを駆使した戦いのはずだが、結局下っ端の兵士達が砂漠を横断するというようなことも普通に行われる。すべてが戦闘機や戦車ですむはずがない結局は砂漠のまっただ中、辛い行軍を何日も続け、いつ敵に襲われるか分からない不安な状態ですごす。こんな環境であれば誰だっておかしくなるのは当然だろう

本作を見ると、なんとなく今、日本の自衛隊がイラクに行っているが同じような状況かもしれないと思った。決して良いとはいえない環境の中、いつ襲われるかも分からない状態で、ひたすら復興支援をする。攻撃されてもこちらからは攻撃できない。報道されてはいないが、兵士達のストレスは相当なものだと本作を見ても想像できる。

戦争映画特有の残酷描写で教訓じみた演出をするのではなく、志願兵たちの目線から戦争に行くことがどうゆうことか、その辛さや苦しさが描かれている。本作を見ると誰も志願しなくなるのではないだろうか。



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