イルマーレ


2006.10.2 とてもゆっくりとした時間の流れ 【イルマーレ】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
静かでそしてゆっくりとした印象を見るものに与える恋愛映画。イルマーレという海辺にひっそりとたたずむ家がなんともいえない寂しさを醸し出している。中身はちょっとSFチックなタイムパラドックス物で似たようなものはいくつか見たことがある。しかし他のどの作品とも違うという印象を与えたのは、やはりイルマーレという家の雰囲気なのだろう。海辺というか海にほとんど入り込んだような家。間接照明などでオシャレな雰囲気を演出している。途中で誰もが気づいてしまう結末には、分かっていながらも少し泣けてくる。それはイルマーレという家の雰囲気によるところが大きいのかもしれない。

■ストーリー

海辺の家から引っ越そうとするウンジュが、次の入居者のために郵便ポストに手紙を残す。その手紙が時間をさかのぼり、2年前にそこに住んでいた男性・ソンヒョンの元に届いてしまい、ふたりは時を超えて愛の書簡を交換することに。同じ時間では会うことが不可能なふたりの恋の行方が胸をかきむしり、2年後、すなわち彼女のいる時間に会おうと約束する彼らに訪れる意外な運命…。

■感想
ずいぶん前の映画だが、乙一の作品に本作と酷似したものがある、それはCalling youという作品で、両者の違いはイルマーレが手紙であればcalling youは電話という違いと、あとは時間差が2年か1時間かの違いだけなのだ。結末もかなり似ていてある事件の原因まで同じだった。本作を見た瞬間にどちらかがパクッたのかと思ったが、時期的にいうとほとんど同じ時期なので、もしかしたらただの偶然なのかもしれない。

イルマーレという家の雰囲気と主人公がたいしてかっこいいわけでもない普通の男ということで、何か親近感もわきながら、日常のことのようにも思えてくる。しかしこのイルマーレと同じ状態になったのなら、どちらが辛いのだろうか?現在と未来の手紙のやり取りであれば確実に過去の方が何かと辛いような気がする。お互い逢いたいのだが逢えない。時間差が2年というのは非常に微妙で、2年も空けばどうなっているかわからない。2年後に会う約束をした時点で結末が予想できたというのもある。

ハリウッドのリメイク作品がそろそろ公開されるようだが、恐らく本作よりもかなりゴージャスになっていることだろう。しかしゴージャスさだけでは本作の魅力は表現できないかもしれない。海辺に佇むイルマーレの
ゆっくりとした時間の流れがあればこそ、2年の時を超えて手紙のやりとりをする二人を見守ることができる。ハリウッド作品でこの雰囲気がだせるのかどうか、それを楽しみにしたいと思う。



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