2007.3.12 一見さんお断り 【ηなのに夢のよう】
評価:3
■ヒトコト感想
あまり評判のよくないGシリーズ。しかしものすごく売れているらしい。面白い作品と売れる作品は別なのだろう。シリーズとして続けていればファンは買わずにはいられない。いつまでたっても確信部分をぼやかしながら引っ張り続ける。読者は気になってしかたがないので、シリーズを読み続けるしかない。本作はまさにその典型で、一見さんお断りの雰囲気は前からあったが、さらに輪をかけて、Gシリーズ以外にもすべての森博嗣作品を読まなければならないような流れだ。単体としてはすでにトリックを解明することをあっさりと放棄している。ただ、ストーリーを進めるために必要な作品という位置づけなのだろう。
■ストーリー
地上12メートルの松の枝に首吊り死体が!遺されていたのは「η(イータ)なのに夢のよう」と書かれたメッセージ。不可思議な場所での「η」の首吊り自殺が相次ぐなか、西之園萌絵は、両親を失った10年まえの飛行機事故の原因を知らされる。「φ(ファイ)」「θ(シータ)」「τ(タウ)」「ε(イプシロン)」「λ(ラムダ)」と続いてきた一連の事件と天才・真賀田四季との関連は証明されるのか?
■感想
地上12メートルの死体はどのようなトリックがあったのか。作中では一言で済まされている気がするが、とうてい納得できるものではない。純粋なミステリーの雰囲気を出しながらも、結局はそれを放棄している。シリーズの流れとして真賀田四季をどうしても臭わす必要がある。苦労しながらストーリーが進んでいるような気がする。おそらくGシリーズではすべての説明が難しくなり、その他の森作品からも伏線を借りてきているような……。
相変わらずGシリーズといいながら萌絵が活躍し、懐かしい面々も登場する。一見さんはお断りなのはもちろんのこと、Gシリーズだけを読んでいても楽しめない。すべてのシリーズを読んで初めて細かな伏線や仕掛け、そしてちょっとした言葉から連想させる繋がりを楽しむことができる。はっきり言えば、これがなければまったく読む価値がないと言っても過言ではないだろう。そうなってくると必然的に森作品初心者はあっさりと打ちのめされるだろう。
おそらくGシリーズはあと三作で終わるのだろう。それがどの程度納得させてくれるものなのか、そして今まで我慢して読み続けたかいがあるのか。ここまでずっと読み続けたのだからいまさらやめることはできない。もしかしたら同じような気持ちでずっとシリーズを読み続けている人もいるのかもしれない。これが本が売れる秘訣なのだろう。
ミステリーとしては成立していない。
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