生きる


2005.1.15 いのち短し恋せよ乙女・・ 【生きる】

                     

評価:3

名作ですね。

「何の為に生まれてきたのか?」なんて問いは中学生くらいに誰でも
一度は考えることだ。そこから年を重ね、
死ぬ間際に自分が何をしたのかと改めて考えると
明確にこれをやり遂げたと言える人は何人ぐらいいるのか。
本作は死ぬ間際いそれに気づいた男の話しである。

30年間、何もしないまま無遅刻無欠勤で勤め上げようとしていた
市役所の市民課長は、自分が癌であることを知る。
自暴自棄になったある日、自分の人生がとてもつまらない物だと気づいた彼は、
何かを成し遂げたいという思いから
小さな公園の建設に奔走することになるのだが・・・

今まで黒沢作品はまったく見たことがなく
知り合いに勧められたので軽い気持ちで見た。
正直白黒映画を見慣れていないせいか最初はかなり
見にくく感じたが、時間が経っていくうちにそれが
映画全体の雰囲気にマッチしてきた。

似たような映画に死ぬまでにしたい10のことがあるが
死に直面した時に起こす行動も人それぞれで、多分本作の
主人公のような行動をする人は少なのでは無いかと思う。
大多数の人が家族や自分の為に何かをするが、死ぬ間際の
エネルギーを全て公共的な事につぎ込んでいるので
やり終えた時の他人に与える感動が大きいのだと思う。
公園のブランコで「い~のち短し、恋せよ乙女・・」と謡うところで
涙がでそうになった。

死んだ後の描写が長く、泣けてくる場面が多々あるが、
1つ気になったのは、主人公の功績を称えつつも
何もできなかった他の人々を糾弾しているよう感じであり、
それが見ている者にとってはちょっと自分が糾弾されて
いるような気持ちになった。

これを見終わったあとには何かをやらなければならないという
気持ちが涌いてくる。今の自分の境遇に満足できず、何かを
始めたいと思っている人にとっては良いきっかけかもしれない。



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