ヒトラー最期の12日間


2006.2.24 怪物のカリスマ性 【ヒトラー最後の12日間】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
ヒトラーという怪物が最後の12日間をどのように過ごしたかが克明に描かれている。独裁者となると、どうしても恐怖心から従っているものと思っていた、しかし本作でも描かれているように恐怖心では人を統率することはできずそのずば抜けたカリスマ性によって人々を統率していたのだろう。敗色濃厚で降伏を余儀なくされた状態でも、ヒトラーに心酔した人々は彼のあとを追う・・・。戦時中の日本もこうだったのだろうか、それともヒトラーだけ特別だったのだろうか。そのカリスマ性を垣間見ることはできなかったが、部下達の行動を見ると十分説得力がある

■ストーリー

1945年4月20日、ベルリン。ヒトラーは56歳の誕生日を地下要塞で迎えた。ソ連軍の猛攻により、戦況は日毎に悪化。極限状態の中、彼はある重大な「決断」をするに至る。ミュンヘン出身の若い女性が、アドルフ・ヒトラーの秘書になる。彼女は追いつめられたヒトラーの最期の日々を近くで目撃。独裁者をひとりの人間として見つづけた彼女の瞳に映った、本当のヒトラーの姿とは?

■感想
敗北者の末路はだいたいどこも同じようなものなのだろう。日本でも恐らく似たようなことが起きていたのだろう。しかし決定的に違っているのは、独裁者のカリスマ性なのではないだろうか。本作も急遽雇われた秘書の目から見たヒトラーが描かれており、ほんのわずかな期間しか一緒にいない秘書の目から見てもその部下達のヒトラーに対する心酔ぶりが良く分かる。

さすがに戦況が芳しくない状態で無理難題を突きつけるヒトラーに対して嫌気がさしてくる者もいるだろう。それは敗色濃厚となった戦いではどうしても裏切りなどはでてくるものだ、それを差し引いても本作にでてくるヒトラーがなぜここまで部下達の信頼を得ることができたのか、そのバックグラウンドはまったく描かれていない。心身ともに疲れ果てた末期のヒトラーしか見ることができない。

閉鎖された地下基地での話しであり、外では大変なことになっているのだろう。しかしいつの時代も戦争で一番被害をこうむるのは一般人であり、一般兵士達だ。戦争の悲惨さと敗戦国がどうなるかということもリアルに描かれている。ヒトラー自体にスポットが当てられているが、戦争自体の虚しさと悲しさ。特に子供達がヒトラーに心酔し爆弾を抱えて戦車に突っ込もうとする姿には悲しいものを感じた。

最後はただの落ちぶれた老人になってしまったヒトラーだが、その影響力がいかに大きかったかというのを死んだ後にも感じさせるような作品だ。



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