ゲームの名は誘拐 東野圭吾


2005.11.2 映画を見た後の原作は・・ 【ゲームの名は誘拐】

                     
■ヒトコト感想
映画を見てその後原作という始めてのパターン。
作品の内容、特にミステリーの展開が分かってしまうとかなり致命的であり、
逆パターンでは映像化されるにあたってどうなるかという楽しみがあったのだが・・・・
それでもどこまで楽しんで読むことができるか挑戦してみた。
率直な感想を言えば、映画を見ずに読んだらさらに面白かっただろうな
という印象と、登場人物に対して映画の俳優をそのまま当てはめることができ、
よりリアルに感じることができた。
内容を知っているとどうしても面白みが半減してしまうが、終盤に来てのどんでん返しに、
分かっていながらも楽しんで読むことができた。

■ストーリー
やり手の広告代理店プランナー佐久間は、クライアントの重役・葛城にプロジェクトを突然つぶされてしまう。
仕事上で屈辱を味わわされ、やりきれない気持ちで葛城低に出向いた彼は、
偶然にも家出をしてきた葛城の娘・樹里と出会う。
仕事も恋愛も人生はすべてゲーム、それに勝ち抜くことがすべてと信じるエリートのプライドが、
ゲームの達人を自称する葛城に勝負を挑む。
娘を人質にした狂言誘拐を企て、葛城から身代金三億円の奪取を狙うのだが・・・。

■感想
冒頭から登場する佐久間と樹里に対してはもう藤木直人と仲間由紀恵以外には考えられなくなってしまった。
もちろん葛城は石橋稜の眉間にしわを寄せた顔のイメージしかない。
映画と原作の間違い探しをするつもりはなく、
というか細部まで間違い探しできるほど映画を覚えていないというのもある。

東野作品独特のサラリと読める感覚は健在であり、場面がめまぐるしく変わるスピード感溢れる場面でも
混乱することなく読み進めることができた。
しかし、この辺は実際に映像で見た方が視覚に訴えることができるので理解しやすいと思う。

身代金目的の誘拐は難しいという思いを、佐久間の手法ならば実現可能かもしれないと思ってしまうほど
現実的な方法を選択している。そこまで完璧主義な佐久間が狂言誘拐を順調に進めていく様を見ていると
爽快感とともに、無性に応援したくなる気持ちで一杯になった。

最後のどんでん返しも、分かっていながらも驚愕させられるのだが、
映画の時には感じなかった感想としては
最後の最後に葛城がなぜかかなりに甘い考えをもっているように思えた。
ゲームの達人であれば最後もぬかりなくやるものだと思うし、今までの東野作品ではたとえ後味が悪くとも
初志貫徹していたと思うのだが・・・・。
しかし、結末がバッドエンディングであれば、映画化はされなかっただろう。

万人に受け、読後感を良くするにはこの結末が良かったのかもしれない。




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