エリザベス ゴールデン・エイジ


2008.3.31 圧倒されっぱなしの二時間 【エリザベス ゴールデン・エイジ】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
イングランドの女王エリザベス。この時代に少し興味があったので、多少贔屓目に見てしまうというのはある。ある程度、時代背景について知識があるのとないのでは面白さもずいぶんと違ってくるだろう。メアリー・スチュアートとの決裂やスペイン無敵艦隊との戦い。プロテスタントの女王として君臨し、強烈な存在感を放つこのエリザベスに終始見入ってしまった。当然、主役のケイト・ブランシェットは、はまり役であり、何者にも屈しない意思の強さを表情から伺い知ることができる。女としての幸せを捨て、一国の女王として生涯をささげたエリザベス。壮絶な人生を、こうもしっかりと見せられると何もいえない。圧倒されっぱなしの二時間だった。

■ストーリー

25歳でイングランド女王に即位したエリザベス。父王ヘンリー8世の遺志を継ぎプロテスタントの女王として即位したが、国内にはカトリック信者が大勢おり、不安と憎悪が渦巻いていた。その頃、ヨーロッパ列強はイングランドを占領すべく狙っており、スペイン国王フェリペ2世はことあるごとに圧力をかけてきた。さらにカトリック派のスコットランド女王メアリー・スチュアートの存在も火種となっていた。

■感想
エリザベスを取り囲む華やかな女たち。突然、巨大な権力を持ったエリザベスの周りには、常に取り巻きや他国の男たちが媚を売る世界。結婚相手を探すために、肖像画を見て判断するなど、異様な雰囲気なのだが、物語のトーンは明るいものとなっている。どちらかと言えば、マリー・アントワネットに近いのかもしれない。一方、自国が危機に陥ると、強烈な存在感と、有無を言わさぬ圧倒的な力で相手をねじ伏せる何かがある。スペインの大使に対して宣言するシーンはとても強烈なインパクトがある。

主演のケイト・ブランシェットがすばらしい。何が素晴らしいかというと、目つき一つで、今何を考えているのかを即座に観客にわからせるその目力だ。好意を持つ相手と一緒にいるときは、穏やかな表情となり、視線さえも恋する乙女となっている。かと思えば、敵対するものに対して、まるで積年の恨みを晴らすかのごとく、強烈な視線を相手に投げかけている。永遠の処女として描かれているエリザベス。ただ、本作では人を寄せ付けない鉄の女というイメージよりも、時代に翻弄されながら、しっかりと信念をもって国を守るやさしい女という印象が強い。

エリザベスと共に印象深いのは海賊だ。一国の女王に対して、対等に話をし、そして惚れさせる。そのかっこよさはもちろんだが、スペイン無敵艦隊に攻撃する際の艦長として最後まで船に残る男気。あのワイルドさを見せられると、エリザベスでなくとも、いちころだろう。

本作は全てがエリザベスを中心に作られている。エリザベスを活かすためのメアリー・スチュアートだったり、結局はただのやられ役でしかなかったスペイン国王フェリペ2世であったり。すべてお膳立てされており、ヒットする要因はそろっている。一般的な評価がどのようなものかわからないが、自分の中では十分面白い作品だった。



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