エレファント


2005.1.6 平凡な日常から凶行へ 【エレファント】

                     

評価:3

タイトルの由来は、盲目の仏教僧侶数人が自分の手で触れた部分の
印象しか語れず、物語の全体像は見えにくいという教訓話から
ヒントを得たらしい。

コロラド州コロンバイン高校の呪乱射事件をリアルに再現した
物語。コロンバイン高校に通う生徒達それぞれの日常を
通して、事件が起こるまでを淡々と映像化している。

ボウリング・フォー・コロンバインの中には本当の防犯カメラの
映像が使われており、ドキュメンタリーとしての役割は十分に
果たしていると思う。
しかし、本作はそれとは一線を画しており、ドラマとして
ドキュメンタリーでは表現しきれない、想像の範囲ではあるが
リアルに事件を表現しているように思える。

コロンバイン高校に通う複数の高校生それぞれに時間を割き
キャラクターを印象づけることで高校生活のリアル感が出ている。
さらに登場人物を追いかけるようなカメラワークによって
同じ目線、同じ気持ちで物語に入り込める。

淡々と進んでいく高校生活の中で突然起きる事件。
本作の中でも偶発制はものすごく感じるし、強く印象づけられた登場人物達が
次々と事件に巻き込まれていく中で、自然と
自分も事件に関わっているような気持ちになってしまう。

事件を起こした当事者達の、凶行への動機はオリジナルで
作られたようだが、どうもその動機だけはしっくりこないような
気がしてならない。
ただし、当事者達ももちろん時間を取りキャラクター付けされているので
彼らに共感できる人もいるかもしれない。

しかし、本当の意味で事件を起こした当事者達の気持ちを理解できるのは
本人達だけだろう。



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