エバン・オールマイティ


2008.1.12 神の命令は絶対 【エバン・オールマイティ】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
前作ブルース・オールマイティでは神の力を自由自在に操る男の話だったが、本作は逆に神の言いなりになる男の話だ。議員が選挙の公約として耳障りの良い公約を並べることに対する皮肉もこめられているのだろう。「自然環境を大切に」を声高に叫ぶならば、まずは本作のエバンのようにしろとでも言うかのように、ありえない流れを徹底している。そして、最後まで壊れることがなく物語を収束させている。内容だけでなく見た目のインパクトもすごい。神に見出され、箱舟を作る役目をおおせつかったエバンの容姿は、まるでキリストのようにヒゲぼうぼうだ。コメディでありながら、どこぞの政治家に対する皮肉もこめられているように感じるのは深読みしすぎなのだろうか。

■ストーリー

人気キャスターのエバンはマニフェスト“世界を変えよう”が大当たり、圧倒的知名度とバックアップで見事に下院議員に当選!大仕事に有頂天のエバンだったが、彼の目の前に「神」が出現!「世界を変えたいのなら、箱舟を作りなさい」とのお達しが!やがてエバンの外見はノアにソックリになり、動物たちが集まってきて…!

■感想
前作が誰にでも神の力はあるということに比べると、本作のテーマはイマイチ弱いように感じた。箱舟を作るという発想は面白く、どんなに神がじゃまをしようとも、ぎりぎりまで議員として活動しようとする、往生際の悪いエバンも面白い。エバンがくそまじめな風貌なだけに、より面白さが際立っている。前作のジム・キャリーと比べると見た目的に本作のギャップの方が強い。ヒゲぼうぼうでボロを纏ながら、無理やりスーツを着る姿。そして、議会で決定的な一言を口走る瞬間。事態が緊張感にあふれているだけに、逆に笑いをこらえるのに必死だった。

動物たちと家族と箱舟を作るエバン。くそまじめな男が、くそまじめに箱舟を作り、それをきっかけとして家族との絆も深まっていく。なんだか、真の目的は何なのかぼやけてきたが、結局アメリカらしく
アットホームな感動を捨てることはできないのだろう。洪水が来るから箱舟を作り、生物を守る。まさに神のお告げどおりに行動するエバン。そして、ステレオタイプの悪い政治家が、お決まりどおりエバンの邪魔をする。最後はハッピーエンドなのだが、丸くおさめるために箱舟が議事堂に突っ込むのはやりすぎだと思った。

神の力を使うのではなく、神の命令を聞く。前作とは真反対だが、心に響くのは意外にも前作の方だ。本作はあまりに漠然としすぎて、環境の大切さを訴えるには、訴求力がたりず、政治家の不正を暴くには、なんだか遠回りしすぎのように感じた。くしくも某元副大統領が環境を破壊し続ける世界に警告を与えるような作品を発表した。極論だが、本作のエバンのようにヒゲぼうぼうで自然と一体化し、環境に配慮してますよと発表すれば、インパクトもでかいだろうと思ってしまった。もちろんあくまで、極論だが。

パッケージの動物映画的な雰囲気を想像すると、少し違うと感じるかもしれない。



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