ボンボン


2007.5.10 わらしべ長者的展開 【ボンボン】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
ドゴという犬種の愛くるしい顔。助手席に座りながら茶飲み話をする老人のようなぼんやりとした顔を向ける犬。この犬が本作の全てだ。内容はわらしべ長者的な流れで、偶然と周りの人の親切で物事はどんどんよい方向に進んでいく。元はリストラされたしょぼくれた親父だが次第にその容姿と性格に心奪われてしまう。そんな人の良いビジュガスがいつ騙されるのか、気が気ではなかった。こんな気分はどこかで味わったことがある。それは、くしくも同じように一人の老人が旅にでる世界最速のインディアンだった。

■ストーリー

初老のビジュガスは、寂れた道路沿いのガソリンスタンドで20年間働いてきた。しかし、ある日突然スタンドが売却され、あっけなくクビに。手彫りのナイフを売って生計を立てようとするが、うまくいかず身を寄せている娘夫婦の家にも居場所がない。ある日、仕事の途中で車が故障して困っている女性を見つけ、修理を手伝ったお礼に、白い犬をもらう。ドゴ・アルヘンティーノという血統書付の名犬は人々に注目され、やがて…。

■感想
しょぼくれた老人がリストラされ、細々とナイフを売り歩きながら生活する。家に帰れば居候として居場所がない。見ていて可愛そうになってくる。身なりもぼろぼろ、そんな状態でリッチな家庭に招待される場面では、どこかでボロがでないかとハラハラドキドキしながら見てしまった。

一つの善行から犬を飼うことになり、その犬がきっかけとしてわらしべ長者的にドンドンと物事は良い方向に進んでいく。途中で現れるいかにも胡散臭そうな人物に騙されるのではないかとハラハラしながらも、それらの人物たちは皆好人物だった。とんとん拍子に物事が進むと、どうしても大どんでん返しが起こるのではないかと疑ってしまう。幸せに順風満帆に進むことを望みながらも、どこかで悲劇を覚悟しながら見ていた。

予想に反して悲劇は起こらず、最後には全てが丸くおさまってしまう。犬とバイクという脇役は違えど、これはまさしく世界最速のインディアンと同じだ。ただ、本作は犬に対してマニアックにスポットを当てているので、犬好きならば間違いなく本作の方が見ごたえあるだろう。一見なんてことない、飼い主と同じぼんやりとした顔のボンボン。しぐさの一つ一つが最後には何でも
愛くるしい物に見えてくるから不思議だ。

犬好きには外せない作品かもしれない。



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