世界最速のインディアン


2007.3.24 オシム監督風な老人 【世界最速のインディアン】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
いつ、どのようにして激しい困難が襲ってくるのか。そればかりを考えながらハラハラしていた。一人の老人がバイクレースに参加するためにはるばる地球の裏側まで旅するロードムービーだが、どこかに落とし穴がありそうで気が気ではなかった。とんとん拍子にうまくいき、周りの人々の助けでレースに参加するまでに至る。結局最後まで、小さなトラブルはあったが問題なくクリアしている。飄々とした老人であるバートが苦しむ姿を見るよりも喜ぶ姿を見たくなる。そして最後は感動のフィナーレが待っている。人のやさしさと暖かさを感じる作品だ。

■ストーリー

ニュージーランド南部の小さな町、インバカーギル。小さな家に独り暮らしているバートは、早朝からバイクの爆音を轟かせる名物の老人だった。家族もなく、暮らしも貧しかったが、若い頃は優秀なエンジニアだった彼は、自ら改良したバイクで、数々の国内記録を残していた。爆音の苦情はあるが、温かい人柄から町の人々に慕われてた。バートの夢は、米国ボンヌヴィルの大会で世界記録に挑戦すること。

■感想
憎まれ口を叩かれながらも周りから暖かく見守られる老人。レクター博士とは180度違う役を演じるアンソニー・ホプキンスはまさにはまり役だ。どこかオシム監督にも似たその風貌で、のっそりと歩く姿は他人の警戒心を解かせると共に、何かをしてあげたくなる。無謀な旅であっても出会う人々の助けによって切り抜けていく。自分ひとりで車を修理するたくましさもロードムービーを面白くしている要因だろう。

唯一の困難といえば、レースに出場できるかということで、それさえも持ち前の人柄でクリアしている。周りの人々の優しさと暖かさ。こんなことはあるはずがないと思いながらも、順風満帆に進む旅を応援したくなる。レースにおいても、最新機器を駆使するわけでもなく、ありあわせのものを工夫しながら改造していく。恵まれない環境であればあるほど、観衆は応援したくなる。

真っ白で平らな地面をインディアンという抱きつくような格好で乗るバイク。このバイクがまた魅力に溢れている。スタート時はフラフラしながらもスピードが乗ってくるとボブスレイのような雰囲気で真っ直ぐに進んでいく。慢心相違になりながらひたすらスピードを追い求める姿は、何か夢を忘れた現代人に、夢と希望を思い出させてくれるような勢いがある。

山あり谷ありではなく、旅先で人々の親切に頼りながら最後は自分の夢をかなえていく。慢心相違の老人だからこそ、暑苦しくもなく、押し付けがましい感動もない。自然に感じる暖かさとやさしさだ。



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