僕は人生についてこんなふうに考えている 


2007.12.8 人それぞれの人生観 【僕は人生についてこんなふうに考えている】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
浅田次郎の今までの作品の中で、印象深い言葉を抜き出してまとめている作品。作者の人生観がそのままでていると思われるのだが、物語の一部を抜き取られて、それを説明されても、理解するのはなかなか難しいと思った。前後の流れがわからないまま、必要な部分だけ切り出す。思想もすべてが一環しているわけではなく、一部の考え方には矛盾するような部分も見受けられた。ただ、後半の才能についての話はやけになっとくできた。天才にも努力はつきもの。これは作家として大成した作者が言うのだから間違いないのだろう。

■ストーリー

「私の人生は私の矜りである」―人々の希望と幸福を描いてやまない作家・浅田次郎。その筆致は、いつも読者に「こんな生き方もある」と語りかけている。多彩な作品群から著者の人生観があふれる文章を「生きる力の養い方」「勝ち運の極意」「才能を磨く方法」など11のテーマに分けて精選。浅田文学を一望し、「自分の人生」に誇りを持つための157の言葉。

■感想
11のテーマに沿って、作品の中から必要な言葉をピックアップしている。金についてや考え方、才能についてや生きかたまで、作者の思想が色濃くでた作品を選んでいる。それほどメッセージ性の強い作家だとは思っていなかったのだが、こうやって抜き出されると、随分と読者に訴えかけるような言葉をつづっている。エッセイはまだしも、物語の中でその一文が語られると、それをそのまま作者の言葉と受け取ることができるのだろうか。どうも、物語の一部としてしか感じないような気がする。

作品を切り張りするようなイメージなので、物語の前後関係がわからないと、真意は伝わりにくい。過去に読んだことのある作品からの言葉であっても、そこだけ読んでもまったくイメージできなかった。正直言うと物語を読んでいる間は、まったくメッセージを理解できなかった。本作を読んで、あらためて考えるとそうかもしれないと思う程度だ。エッセイでもなく物語でもない、アンソロジー的に言葉をまとめた作品だ。まさに、ファンのための作品といってもいいだろう。

本作の言葉をそのまま受け取り、幸福とは何かを追及するのも悪くないかもしれない。ただ、作者独特の考え方であることには違いない。他の人がそのまま実践してもなかなかうまくいかないことの方が多いのかもしれない。作者があとがきで言っているように、人の意見に左右された結果ではなく、
自らが経験し、あみだしたことなので、万人に通じることではない。

もしかしたら、ファン以外にはお勧めできないかもしれない。



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