ボラット


2007.8.25 確かに面白いのだが… 【ボラット】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
まあ、面白いといえば面白い。世界を牛耳っているつもなアメリカ人があたふたするのを見るのは確かに面白い。しかし、中には善意のうえでの行動を逆手にとって、面白おかしくしている部分がある。どっきりを仕掛け、アメリカ文化を皮肉るのもいいだろう。確かに本作で皮肉られている部分は、ある意味、アメリカのエゴの部分かもしれない。しかし、そうは言っても、善良な市民を騙して楽しむというのはあまり良い気分ではない。

■ストーリー

カザフスタン人ジャーナリストであるボーラットは英米文化を取材するためにアメリカを訪問。ボーラット自身、女性蔑視の反ユダヤ主義者というきわどいお騒がせモノである。アメリカを訪問したボーラットは文化の違いからハチャメチャな行動にでる。人の善意をたくみに利用し、アメリカ人がどのような行動をとるのかを面白おかしく描く、アメリカ版どっきりカメラと言ってもよい。しかし、ネタばらしは絶対にない。

■感想
アメリカに密接な関係がある日本人が見ると、とても面白い。本作で揶揄されているのは、アメリカ文化であり、アメリカ人の傲慢さだ。判官びいきではないが、強いモノがあたふたする姿を見るのは面白い。カザフスタンジャーナリスト(という設定)のボーラットがアメリカ人の善意を利用し、とんでもないことをやってのける。痛快な場面もあれば、やりすぎだろと思う場面もある。メッセージ性が強いのかといえば、そうでもない。ただのバラエティ番組の延長として見てしまった。

本作の根底には華氏911などに通じるものがあるのだろう。ただ、それをするのが同じアメリカ人であるか、違うかだけだ。究極なまでの女性蔑視や反ユダヤ主義などどう考えてもおかしいことを、アメリカ社会に対抗するためにやってのける。そして、そのときのアメリカ人の反応を見て楽しむ。ただ、冗談として見るぶんにはとても面白く、笑いが絶えない。しかし、引っ掛けられているアメリカ人たちは、大真面目に対応している。この熱心さが逆に悲しくなってしまった。

日本でいうところのどっきりカメラのようなものだろう。善意で対応するアメリカ人たちを、引っ掛ける。相手がまじめに対応しようとすればするほど、どんどん面白くなっていく。しかし、それと共に、その後おとずれるドタバタを想像すると、苦しくもあり、悲しくなってくる。相手が誰もが憎む悪人であれば、そうは思わないが、善良な市民(と思われる)なだけに、ちょっと良心の呵責にさいなまれた。

エンターティンメントとしては十分面白いと思う。ただ、これはあまりやりすぎると、飽きられるのと、観衆から反感をかうだろう。現に、僕自身も本作だけで十分お腹いっぱいになってしまった。



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