ブラッド・ダイヤモンド


2007.6.7 This is Africa 【ブラッド・ダイヤモンド】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
まず衝撃的なのはアフリカ内部でのテロのすさまじさだ。これはまさしくホテルルワンダを思い出してしまった。同じ国の中で容赦なく殺しあう現実。そしてそんな無政府状態といってもいいような中、ダイヤを手に入れようと奔走するアーチャー。アーチャーとソロモンの価値観の違いや、目的の違いが浮き彫りになるが、最終的にはアーチャーとソロモンの心がお互い通じ合う。衝撃的なテロ風景、それを取材するジャーナリストと逃げ惑う難民たち。この三者の違いが明確なだけに、現実をはっきりと見せられたような衝撃がある。

■ストーリー

アフリカ・シエラレオネ共和国。反政府軍組織RUFに捕まり闇ダイヤの採掘場で強制労働を強いられていたソロモンは、作業中に大粒のピンクダイヤを発見。再び家族と暮らすために危険を承知でそれを隠すが、直後に政府軍によって捕らえられてしまう。一方、刑務所で巨大なピンクダイヤの話を耳にしたダイヤ密売人のアーチャーは、その在り処を聞き出すために、同じ刑務所に収監されていたソロモンを釈放させよう画策し…。

■感想
TIA(This is Africa)というアーチャーの言葉が印象的だ。反政府軍組織が躊躇することなく殺戮を繰り返し、子どもたちを捕虜にし、戦士として育て上げる。そんな中でも家族との平穏な生活を望むソロモン。ソロモンとダイヤモンド密売人であるアーチャーは決して心が通じ合うことはないように思われた。お互いがお互いの価値観を理解できず、自分のことだけを考えて行動する。目的のためならなんでもするはずのアーチャーが次第にソロモンのことを考えて行動するあたり、だんだんと二人の溝が埋まっていく感じなのだろう。

アーチャーとソロモン。この二人を取巻く環境と
テロを取材するジャーナリストたち。危険な地にいることには変わりないはずなのに、切迫したものを感じるアーチャーとソロモンに対してジャーナリストだけがどこ吹く風というように感じた。恐らくどこの戦場でも同じような雰囲気なのだろう。アフリカの内乱が起こる原因も先進国であり、その先進国が進んでテロの取材を行う。なんだかただのマッチポンプのようにも感じた。

終盤ではランボーさながらに大活躍をするアーチャー。家族もなく孤独なアーチャーが家族を第一に考えるソロモンのことを理解できたのは、恐らく終盤の、それも結末間近なのだろう。そうでなければ最後のアーチャーの行動を説明することができない。すべてがうまくいく結末も良いが、アーチャーが体を張ってソロモンを助けるという結末はものすごく感動を誘う。

アフリカでのテロの衝撃は、ホテルルワンダでそれなりに慣れていると思ったが、そうではなかった。何万もの難民が囲われているキャンプは衝撃としか言いようが無い。



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