ブラックサイト


 2008.7.25  ネット時代の闇を暗示 【ブラックサイト】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
巧妙な仕掛けを作り、ジワジワとなぶり殺していく。この仕掛けの類はSAWを連想させる雰囲気だ。天才的な頭脳と正体をつかませない巧みな仕掛け。殺人が行われていくさまをリアルタイムにネットで放送するというのが新しいのだろう。仕掛け的な面白さはSAWを超えており、不可思議で神出鬼没な雰囲気も似通っている。しかし、次々と行われる殺人に対して、まったく手出しできないFBIには違和感をもった。いくらドメインがロシアにあるからといって、放置することはないだろう。連続殺人が行われれば、停止するなり何なりはできたはずだ。まぁ、このあたりのご都合主義はおいといても、十分に楽しめる本作。まるで、これから始まるネット時代の闇を暗示しているようだ。

■ストーリー

オレゴン州ポートランドを舞台に、自身のWEBサイトに生々しい殺人の映像をライブで載せているシリアル・キラー。彼に苦しめられる犠牲者の運命を握っているのは、罪悪感もなく、好奇心だけでサイトにアクセスする世界中66億人の人々。彼のサイトのアクセス数が増えれば増えるほど、犠牲者たちの死期は早まってしまう。さらに悪いことに、犯行を重ねれば重ねるほどサイトの存在は知れ渡り、アクセス数は増えて被害者の死に至る時間は短縮されていく。ネット犯罪専門のFBI捜査官ジェニファーは、焦りをつのらせながらも必死に手がかりを探るのだが…。

■感想
サイトのアクセス数が増えれば増えるほど拷問器具を思わせる仕掛けはゆっくりと被害者を苦しめていく。まず、本作のポイントはこの仕掛けがすごいということだ。ありえないほどの巧妙な仕掛け。誰もが予想しないような拷問を繰り広げる。失血死などはまだ良いほうで、その次はライトの熱で焼き殺し、さらには劇薬で体を溶かす…。このインパクトの強い拷問は、まさにSAWを彷彿とさせる流れだ。犯人の正体不明感や知能の高さなども似通ったものを感じた。

ネットを利用した犯罪。ただ、利用しているのは人が死ぬことを楽しむ一般人だ。この流れは、今後訪れるであろうネット社会の問題点を浮き彫りにしているようだ。一度ネットの世界に流出したものは決して回収することができない。同じようにネットで行われる行為に対してはほとんど規制ができない。本作を見ると、FBIの無力さだけがあらわになるようで少し悲しかった。犯人が手がかりを残さなければネット上から相手にたどり着ける可能性はゼロに等しいのではないかと感じてしまった。

物語の発端もネット上の出来事にある。ネットとリアルな世界の境界線が限りなく無くなっている現在。本作のようにリアルタイムに犯罪がサイト上にアップされることも、そう遠くないだろう。ハイテク技術を駆使したFBIであっても、一般人の中に紛れ込んでいる天才に対してはまったく歯が立たない。それは、どの分野でも同じことだろう。ネットの残虐性を、拷問器具という触媒を通してアピールしているようだが、犯人もある意味ではネットの被害者である。この連鎖はどうにもならないようにも感じてしまった。

今後似たような作品は沢山でてくるだろう。何かしら劇的な解決方法というのは見出されるのだろうか。



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