バタフライ・エフェクト2


2007.3.27 ドラえもん的便利さ 【バタフライ・エフェクト2】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
前作は人生の”IF”を巧妙に表現したすばらしい作品であった。本作もその流れを汲んでいるかと思ったが、ちょっと雰囲気が違っていた。あの時こうしておけばよかったというIFの気持ちよりも、単純に都合の良いように過去を改変するようなイメージだろうか。前作が分岐点であらゆる可能性を模索したのに比べて本作は一本調子なため、ある一つのストーリーを、ただ都合の良いように修正したようにしか見えなかった。一つのことをきっかけに、それが大きな影響を及ぼすというバタフライエフェクト本来の意味からするとずいぶんかけ離れているような気がした。悪くはないが、わりとありきたりに感じてしまった。

■ストーリー

仲間四人、アウトドアで誕生日を祝うニックたち。幸せなひと時もつかの間、帰り道で事故にあい、愛する人を失ってしまう。不幸な人生を過ごすニックはふとしたことで楽しいアウトドアの写真を眺め、過去にさかのぼることとなる。人生のターニングポイントをやり直すことができたニックは無事、事故を避けることに成功する。すると時間は現在に戻り失ったはずの恋人といっしょに生活する日々が続いていた。ニックは写真を見ることで過去のターニングポイントにさかのぼり人生の岐路でさまざまな選択をしていくのだが……。

■感想
人間だれしも過去に戻れるものなら、戻ってやり直したいことの一つや二つはあるはずだ。まるでドラえもんのようにタイムマシンで過去をやり直す。そんな都合の良い能力を身につけた人物の話だ。前作があらゆるパターンのIFを経験したとすれば、本作は少ない選択肢で物語を進めている。過去を改変するたびに次々と事態はよくなっていき、最終的には理想に近い生活になるのだが……。この辺はお約束どおり、そううまくはいかない。

前作が日記で過去に戻るとすると、本作は写真を見て過去に戻る。前作が巧みな制約条件つきでなかなか思うようにいかないのに比べると、本作は無差別に過去に戻れるような気がした。まずは恋人を手に入れ、仕事もうまくいき、地位と名誉と金を手に入れる。何か一つがうまくいくと、それに付随して他のものがうまくいかなくなることは普通の人生であれば、普通にあることだ。すべてを手に入れようとするあまり、最後にはとんでもない決断を下してしまう。

過去を変えたとたん、現在の変化にすぐに適応できるのはどうも納得がいかないが、前作ほど大きな変化がないのも特徴だろう。多かれ少なかれ予想の範囲内の変化だったので見ているほうもそれほど衝撃は大きくない。前作が改変後の現在で強烈な印象を残す場面が多々あったのに比べると、このあたりでもインパクトが少なく物足りないと感じる原因なのだろう。

決して悪い映画ではないが、
前作があまりにできすぎていたため、どうしても比較してしまう。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp