爆笑問題の日本原論


2007.5.29 昔だからできた毒舌 【爆笑問題の日本原論】

                     
■ヒトコト感想
今からおよそ十年前の出来事が爆笑問題の太田の毒舌によってよみがえる。有名な出来事を揶揄するようにまっとうな話はほとんどない。爆笑問題の普段の漫才よろしく太田が毒舌を吐き、それを田中がつっこむ。読んでいてこんなことまで書いて大丈夫だろうかと心配になるほど思う存分相手をこき下ろしている。少し前に読んだ日本史原論 偉人編ではその毒は押さえられている。まだ、このころはブレイクする前だったので思う存分、書きたいことを書いているとうような感じだろう。リアルタイムでないからこそ、より面白く感じるというのもある。

■ストーリー

人気漫才コンビ爆笑問題が、オウム裁判、O-157、薬害エイズなどで揺れた世の中に〈笑い〉で挑戦。世の中がこんなバカを言うなら、漫才師はそれ以上のバカを言うよりしかたがない!

■感想
阪神大震災に地下鉄サリン事件。このころは確かに日本中が少しおかしかった。十年前の自分はなんだったのか、自由気ままな学生生活をおくっており、日々のニュースに対しても、とりたてて興味を持つということはなかった。そんな僕でも印象に残るようなニュースを本作は取り上げていたようだ。特にビジュアル的に面白かったり音の響きが面白いものを太田独特のセンスで馬鹿にしている。そして、それが許されるのは田中の(実際は太田が書いているが)つっこみが良識を維持しているからだろう。

今、本作のようなテンションで毒舌をはきまくっていれば、方々からクレームの嵐だろう。下手したら連載が打ち切りになるほどなのかもしれない。それを免れたのは、連載されていた雑誌がマイナーだったのと、爆笑問題自体もまだ世間にそれほど認知される前だったからだろう。今、本作と同じようなことをダヴィンチなどでやることは絶対に無理だろう。

本の中で、まるでシナリオのように漫才形式で進める形は本作が始めてではないだろうか。ここから爆笑問題の~へと派生しているようだ。いうなれば元祖的な作品である本作は、元祖の名に恥じない毒舌満載と余計な解説もほとんどない。すべて爆笑問題で埋め尽くされているような感じだ。

しかし、よく考えると田中のフォローがなければ、ただの便所の落書きと同じレベルかもしれないな。



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