アポカリプト


2007.7.5 強烈な残酷描写 【アポカリプト】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
パッションもそうだがメル・ギブソン監督作品は必要以上にグロテスクな場面が多いように感じる。マヤ文明をテーマにした新しい作品であり、ミステリアスで何か大きな秘密がまっていそうな雰囲気。そして文明の利器が詰まった都会へ連れ去られる場面など、まさに観衆の目を引き付けるには十分すぎるほどの力を感じた。極めつけは必要以上の残酷描写だ。R15の本作、確かに強烈なインパクトがあり、どこかパッションの雰囲気にも似たものを感じてしまう。謎が謎を呼び、最後はわりとあっけなく終わったが、強烈な印象を残すことには変わりない。

■ストーリー

マヤ文明後期の中央アメリカ。ジャガー・バウは部族長の父や妻、幼い息子、仲間たちとともに平和な日々を送っていた。しかしその平和は突然崩れ去ってしまう。村がマヤ帝国の傭兵に焼き討ちされたのだ。目の前で父を殺されたジャガーは、捕まって都会へと送られる。各地で捕縛された人間が奴隷として売り買いされる都会。そこで彼を待っていた運命は、あまりにも過酷なものだった…。

■感想
血と内蔵が滴り落ちる描写や、心臓を掴み取る場面。その場面がどの程度必要なのか。確かに映像として見せれば強烈なインパクトを残すが、ストーリー上でどうしても必要かというと、そうは思えなかった。もしかしたら監督は、残酷な場面を撮ることありきで本作を作ったのではないだろうか。確かに、あの強烈な残酷描写がなければ、ただのなんてことない古代をテーマにした物語となっていただろう。

ジャガー・パウの村と都会の文明。この差異は大きく、それゆえ力関係からあっさりと捕まってしまう。本作は文明の差異をテーマするかのごとく、捕まった者たちが次々と殺されていく場面などは、どうしようもない悲しさを表現しているように感じた。見ているものとしては、この虐げられた村人たちの状況から、救世主が現れ、
漫画的に壮大なカタルシスを得ることができると思っていた。中盤にそれらしい伏線が張られていたというのもある。

しかし、ふたを開けてみるとそれほど壮大ではなく、より現実的な結末に終始している。あの伏線からこの結末は少しインパクトが足りないのかもしれない。カタルシスを得る部分では物足りないが、文明の差異という意味では、本作の流れは良くできていると思った。より大きな文明が登場すると、世界のすべてを支配したと勘違いした文明は、現実を理解することになる。その後の展開が予想できる終わりかたも余韻があってよかった。

血生臭い場面ばかりが印象に残るが、マヤ文明を扱いならがこれほど違和感なく、飽きさせず見せることができるのは監督の力なのだろう。



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