吉原暗黒譚 


 2026.1.17      二重人格の女が秘密を握る 【吉原暗黒譚】


                     
吉原暗黒譚 (文春文庫) [ 誉田哲也 ]
評価:3

■ヒトコト感想
吉原を舞台とした物語。狐の面をつけて花魁を殺害する事件が発生した。それを調査するのは貧乏同心の今村とくノ一の彩音。狐面の一味のひとりを今村の幼馴染の仙石が殺したのだが…。狐面をはがした瞬間に火が出て顔が焼けて正体がわからなくなるという仕掛けまである。殺された花魁はすべて丑三という男が元締めをしていた。

今村が丑三と交渉して狐面の組織を見つけ出せば五百両をもらえる契約を行う。ちょっとしたミステリー的な展開となっている。今村のパートとは別に、長屋に住む幸吉とおようのふたりのちょっとしたラブロマンスのような展開もある。おようが二重人格の様相を見せ始めると、物語は大きく動き出す。過去の凄惨な殺人事件が現在の花魁殺しにつながっていた。

■ストーリー
吉原で狐面をつけた者たちによる花魁殺しが頻発。吉原大門詰の貧乏同心・今村は元花魁のくノ一・彩音と共に調べに乗り出すが……。

■感想
貧乏同心の今村の現状が語られている。吉原のルールやそこから抜け出した彩音の行動も描かれている。実は彩音がくノ一であり、自分を吉原から身請けしてくれた主人をくノ一の特殊技能で殺してしまう能力がある。

そんな彩音と今村のコンビが連続花魁殺人事件を調査する。花魁の元締めである丑三の商才が語られている。花魁を貸し出すというスキームを作り出し、貧乏な村から花魁になりそうな少女を買い取り数年貸し出すことができれば元がとれる。その元を取る前に殺害されたため、丑三は激怒していた。

長屋に住む大工の幸吉と楊枝屋の看板娘であるおようのちょっとしたラブロマンスもある。お互いが好きあっているのだが、そこでおようが突然記憶を無くして別人格になる症状が出始める。このことについて幸吉は独自に調査するのだが…。

おようの生い立ちが明らかになるにつれ、物語の全容が見えてくる。おようの別人格がポイントだ。終盤では過去の惨殺事件の首謀者が実は丑三だということが判明する。その恨みを晴らすために何者かが行動を起こしていたのだが…。

終盤になると今村の幼馴染の仙石が怪しげな動きをし始める。おようの別人格は殺された両親の復讐のために生まれたのか。それとも…。おようの別人格が強烈なインパクトのある告白をする。自分が殺すはずだった父親を丑三に殺されたことを恨みに思っていた。

復讐というよりは、幼いころから虐待され続けた女が、父親への復讐のために生まれた人格だった。今村はそこまでは考えられなかったのだろう。単純におようの別人格は両親の復讐のために丑三を狙うというのがまっとうな流れだ。

くノ一と今村の掛け合いもよい。



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