谷根千ミステリ散歩 密室の中に猫がいる(2) [ 東川篤哉 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
東京の谷根千を舞台にしたミステリー第2弾。イワシ専門の居酒屋で岩篠つみという女子大生と、岩篠なめ郎という兄の兄妹がメインではあるが、探偵役は怪しげな開運グッズの店主である竹田津だ。前作と基本的な流れは変わらない。いつものように緩い短編が収録されている。日常の中に突如としてミステリーのシチュエーションが発生する。
猫しかいない密室の謎を解くために、キジトラの子猫のコトラを譲りたい女性と、事件を解決するためにやってきた竹田津が、いつの間にか交錯し、竹田津がコトラを飼うことになる。結果として、その後の短編でも竹田津の傍らには、コトラが存在することになる。お飾りのように斎藤刑事が登場するのだが、事件を解決することはない。
■ストーリー
最強凸凹コンビ×猫と下町グルメたっぷりの本格ミステリ!“猫”だけが目撃した密室殺人、大学祭で起きた人間消失事件、お巡りさんとのデート中(?)に遭遇した殺人未遂事件。下町情緒あふれる谷中にある、鰯専門の居酒屋。看板娘の岩篠つみれのもとには、不可解な事件が次々に持ち込まれる。困ったつみれが怪しい開運グッズ店の店主・竹田津を頼ると、彼は事件現場で猫をかまったり、喫茶店でスイーツを食べたりしながら、衝撃の真相を解き明かしていく! 本作から読んでも楽しめる、超人気コージーミステリ最新刊!
■感想
「密室の中に猫がいる」は、猫だけが残された密室で殺人事件が起きる。この短編で竹田津はコトラを飼うことに不本意ながらなってしまう。つみれの友人の祖父の妹が密室で死んでいた。よくある密室のパターンで目新しさはない。
猫がいるというのが変わった部分と、竹田津が猫を飼うことになるエピソードとして必要なのだろう。根深い怨恨や、練りこまれたトリックというよりは、偶然の要素により密室となってしまったような感じかもしれない。
「お墓の前で泣かないで」は、墓参りに行った知り合いが、自分の家の墓の前でダンディな紳士が涙を流していた。となると、実は片親だった母親の元夫であり、自分の父親ではないか?と思い込んでしまう。
その他では、外国人が何者かを探して墓の周りを動き回っていることが見受けられた。なめ郎が勝手に想像力を働かせ推理する。墓の名前を勘違いするというのが根本にあり、実は父親でもなんでもないただの詐欺師だったというオチがゆるさを表現している。
「大学祭で消えた男」は、学園祭の出し物である素人寄席の最中に知り合いの大学生が消えた。これは事件でもなんでもない。日常によるあることだが、気づいたらいなくなっていた。ただ、どう考えても移動できるような場所でないのでミステリアスな雰囲気がある。
大学が舞台ということで、いくらでも移動の方法があるように思えたのだが…。緩い雰囲気が究極になると、事件でもなんでもなく、ただの日常の少し不思議な出来事というような感じかもしれない。
相変わらずの緩さだ。