私の身体を生きる 


 2025.5.7      男からすると驚きのエッセイ集だ 【私の身体を生きる】


                     
私の身体を生きる [ 西加奈子 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
様々な女性たちが自分の性について語る。男からすると非常にショッキングというか、強烈なインパクトのある短編ばかりだ。総じて、何かしら性的な虐待を女性が受けているということに衝撃を受けた。何を性的虐待というかは人によるのだが、何かしら痴漢などにあっているようだ。そのほかでは、女性の自慰行為についても赤裸々に語られている。

幼稚園のころからそれとは知らず行っていた行為。女性同士であっても話すことは憚られる行為。自分の経験を語ることが、その場にいる他の女性に迷惑をかけるという思い。男では決して理解できない様々な状況が描かれている。若い女性は、あらゆる場面で性的な目で見られる可能性があるということに驚いた。

■ストーリー
17人の書き手が自らの「身体」と向き合って記す、生きるためのリレーエッセイ私の身体はほんとうに私のもの? 私の身体はどんな視線にさらされ、どのように規定され、内面化されているのか。17人の人気小説家・美術作家・コラムニスト・漫画家・発明家が自らの「身体」と向き合い、ときにユーモラスに、ときに激しく、そしてかつてない真摯さで文章をつむぐ。「文學界」人気連載がついに単行本化。

■感想
西加奈子やその他女性作家たちの性に関するエッセイが描かれている。冒頭のエッセイから自慰行為の話が続いていく。幼稚園のころからそれが何かを知らずに行為を行っていた。それが実は恥ずかしいことだと気づかずに皆の前で大発明として発表しようとしていたというのは笑い話としてもぶっ飛んでいる。

女性の自慰行為の話は確かに話しづらいのだろう。女性同士の会話でも躊躇される話題であることは間違いない。あけすけなくすべてを話すと、周りから変人扱いされたりもする。非常に難しい話題だ。

本作にエッセイを投稿している女性たちは、多くが何らかの性的な虐待を受けていることに驚いた。性がテーマとなっているので、そうなるのかもしれないが…。痴漢されたことが、本人的には大したことがないと考えているが、自分の身体に厳しい母親の教育のもとに作り上げられたので、どこか母親の物と考え、それが蹂躙されたと思い怒りがわいてくる。

男からすると、それがどんな感覚なのかわからない。ちょっと太ももを触られただけでも、その事実が重くのしかかるのだろう。

強烈なインパクトがあるのは間違いない。女性同士の間でもタブーとされていることがある。男のようにあけっぴろげな部分がない。まだ、隠されている部分が多いように感じてしまう。文章を書くことを生業としている女性たちなので、ある程度敏感になっている部分もあるのだろう。

年齢を重ねて性の呪縛から解放されたという内容のエッセイもある。若いころは何かと性に関することが付きまとうのは当然のことだろう。女性として性から解放されるのは、幸せなのか不幸せなのか。。。

男からすると驚きの内容となっている。



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