悪い夏 通常版DVD [ 北村匠海 ]
評価:3
■ヒトコト感想
ことさら、夏の暑さが強調されている作品だ。生活保護の不正受給を描いた作品。市役所の福祉課でまじめに勤務する佐々木が、巻き込まれる最悪な夏。ヤクザが生活保護を食い物にするのは定番だろう。それに加担せざるお得ない弱みを握られる佐々木。。不正受給の手助けをするのだが、本当に生活保護が必要な人にはいきわたらない現実。
悪いことを考える人はとことん、自分本位で好きなことを行おうとする。対して、まじめな人は行き場所がなく苦しい立場に追い込まれていく。真面目な人が損をするようなイメージとなる。特に裏社会の住人である金子は容赦ない。金子に追い込まれ人生が崩壊した鷹野などは自業自得かもしれないが、あまりに悲しすぎる。
■ストーリー
市役所の生活福祉課に務める佐々木は、ある日「同僚が生活保護受給者のシングルマザーに肉体関係を迫っているらしい」という相談を受け、真相を確かめようと彼女のもとを尋ねる。その出会いが“地獄”の始まりだとも知らず……
■感想
まず福祉課の鷹野がカスだ。自分の立場を利用して弱いものを食いものにする。愛美を脅して肉体関係を迫る。愛美からすると少しの間我慢をすれば、生活保護費を受け取れるというのは楽なのだろう。執拗に鷹野の不正を疑う同僚の宮田の異常な正義感が鼻につく。
佐々木は巻き込まれる形で宮田と共に鷹野の不正を暴こうとするのだが…。当然ながら鷹野は報いを受ける。ヤクザの金子に脅され愛美とのことをばらされたくなかったら、ホームレスの生活保護を通せと脅されてしまう。
鷹野の悪行が同僚にバレていると気づいた金子は別のターゲットを探す。ここで善意の気持ちから愛美とその娘に近づいた佐々木は、次第にこの親娘と親密になっていく。悲しいのは愛美が明らかに流される性格で自分をもっていないということだ。
佐々木のことを大事に思っているはずが、金子に脅されるとついつい佐々木を罠にはめるような動きをしてしまう。愛美と娘のためを思って行動し、本気で愛美を愛し始めていた佐々木からすると裏切られたという気持ちが強いのだろう。
強烈なのは、佐々木たちの周辺とは別に、本当に困窮しているシングルマザーの状況が描かれている部分だ。困窮にせまられ、ついついスーパーで万引きしてしまう。その場面を会社の同僚に見られており、会社をクビになってしまう。
シングルマザーで日々の生活費にも困る。公園の水をペットボトルに入れて家で使うような状態。市役所に生活保護の申請を出しにいくのだが…。そこで対応した佐々木に強烈な罵詈雑言を浴びていなくなってしまうシングルマザー親子…。
本当に必要な人に届かない生活保護費だ。