笑いのカイブツ


 2026.2.20    関わり合いになりたくないタイプの人間【笑いのカイブツ】


                     
笑いのカイブツ (文春文庫) [ ツチヤ タカユキ ]
評価:3

■ヒトコト感想
本作が実話をベースとしていることに驚いた。オードリーをモデルとしたベーコンズが登場し、そのベーコンズのラジオにはがき職人として投稿していたツチヤがそのまま作家見習いとなる。この時代のオードリーのラジオは聞いていなかったのでよくわからないのだが…。本作のツチヤはフラットな状態で見たとしてもやっかいな人物だ。

近くにいたとしたら、絶対に関わり合いになりたくないタイプの人間かもしれない。見ていると、ツチヤの行動と言動にイライラがつのる。若林にやさしくされても、決してそれに報いることはない。勝手に自分はお笑いの天才だと思い込んでいる痛いヤツというイメージだ。今、現在このツチヤという人物はお笑いで成功してはいない。

■ストーリー
大阪。何をするにも不器用で人間関係も不得意な16歳のツチヤタカユキ(岡山天音)の生きがいは、「レジェンド」になるためにテレビの大喜利番組にネタを投稿すること。狂ったように毎日ネタを考え続けて6年。自作のネタ100本を携えて訪れたお笑い劇場で、その才能が認められ、念願叶って作家見習いになる。しかし、笑いだけを追求し、他者と交わらずに常識から逸脱した行動をとり続けるツチヤは周囲から理解されず、志半ばで劇場を去ることに。

自暴自棄になりながらも笑いを諦め切れずに、ラジオ番組にネタを投稿する“ハガキ職人”として再起をかけると、次第に注目を集め、尊敬する芸人・西寺(仲野太賀)から声が掛かる。ツチヤは構成作家を目指し、上京を決意するが。

■感想
私小説が話題となり、そのまま映画化されたような形だ。作中に登場してくる人物は、名前は別人となっているが、オードリーのラジオを聞いている人なら、誰のことを指しているのかわかるだろう。テレビの大喜利番組で有名となり、そのまま大阪の劇場の作家見習いとなる。

そこで人間関係が構築できず、嫌われて東京に逃げ出すことになる。オードリーのラジオで有名となり、若林に見いだされ、作家見習いのような形でラジオを一緒に作っていくのだが…。本人が言うように、明らかに社会不適合者な雰囲気を出している。

ろくに挨拶もできなければ、お礼も言えない。自分がお笑いではナンバーワンと思い込み、他者を見下す。最低な男だ。ラジオ番組を作るためには、チームで作り上げる必要がある。ツチヤが作ったネタをサトミツが共同で作ったということにされ、怒りを覚えたり。

あいつはなんでここにいるのか?と暴言を吐いてみたり。お笑いの能力がなくとも、周りを巻き込んでうまく番組を作り上げることができれば、それは立派な能力なのだが…。それがわからないツチヤの発言の数々にはイライラしかわいてこない。

サトミツや周りのスタッフと決別する場面は強烈だ。若林にフォローされたとしても、周りはもう面倒見切れないという感じだ。何も成し遂げていないのに、偉そうな態度。まるで巨匠のような振る舞い。これは周りから嫌われる要素は満点であり、なんらかの病気を疑ってしまう。

作中でもそのあたりは語られているのだが…。お笑いの世界だから、かろうじて許されているのかもしれないが…。一般社会では、間違いなくはじかれる存在だ。

結局のところ、私小説が話題となって映画化されてはいるが、お笑いでは何も成し遂げていない。



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