超新星紀元 [ 劉慈欣 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
宇宙の異変により地球に大量の放射線が降り注ぐ。未来では13歳以上の年齢の者たちがすべて死ぬことが確定していた。そんな情報が世界を駆けめぐるとどうなるのか。大人たちは自己保身よりも、これから先、子供たちだけで人類を反映させるという方向にかじをきるのがすばらしい。
指導者としての素質がある子供を、将来のために育成する。子供たちだけの世界になった時に、どのような混乱が巻き起こるのか。子供たちの世界となった序盤はすさまじいインパクトがある。インフラすら維持できないほど混乱した世界の中で、AIによるサポートがあったことで子供たちだけで安定した世界を作り上げることに成功する。子供だけの世界が安定した後に起こる出来事は強烈だ。
■ストーリー
1999年末、超新星爆発によって発生した放射線バーストが地球に降り注ぎ、人類に壊滅的な被害をもたらす。一年後に十三歳以上の大人すべてが死にいたることが判明したのだ。“超新星紀元”の地球は子どもたちに託された……!
■感想
1年後に地球全体に放射線が降り注ぎ、13歳以上の人類はすべて滅びてしまう。生き残れるのは1歳から13歳までの子供たちだけ。そんな未来が訪れることが確定した時、人類は子供たちのために前向きな動きをすることができるのだろうか。。
子供たちだけで世界の秩序を維持するためには、何が必要なのか。国の指導者たちは、素質のある子供たちに指導者としての英才教育を行う。すべての大人が死に絶えたとき、世界のインフラが維持できるとは思えないのだが…。
子供の吸収力の高さが描かれている。熟練が必要な操作は難しいかもしれないが、それ以外はうまくいく。大人たちがいなくなった瞬間の中国内部の混乱が描かれている。北京の中枢に多数の子供たちから混乱する連絡が入る。
一時的にパニックになる子供指導者たちではあるが、そこからAIを使っての正しいコントロールの仕方を学ぶ。大人が十分に準備していたとはいえ、子供たちだけで世界の秩序が保たれているというのはすさまじい。世紀末のような無政府状態とはならないようだ。
子供たちだけの世界で、子供たちが求めるものは何なのか。それが実は遊びだということが強烈だ。食べるためや生活するために必要な行動というよりも、遊ぶことをモチベーションとした行動の数々。さらには、戦争を遊びの延長戦のような感じに扱う。
まさに何不自由なく暮らせる状態となった時に、人類は何を求めるかというと、平和な日常よりも遊びを求めるというのが強烈だ。子供たちだけで運営する世界というのは、何もかも満たした状態であれば、遊びに特化するのだろう。
強烈な世界だ。