遠海事件:佐藤誠はなぜ首を切断したのか? 


 2026.2.23      完璧な犯罪者があえてわかりやすい殺人を実行 【遠海事件:佐藤誠はなぜ首を切断したのか?】


                     
遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか? (光文社文庫) [ 詠坂雄二 ]
評価:3.5
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■ヒトコト感想
詠坂雄二のミステリー作品。86人の殺人を自供した佐藤誠という殺人鬼の物語。完璧な殺人をくり返し、長い間その殺人が公にならず、最終的に死体が出た事件だけということで9人のみの殺人について起訴された人物。そんな完璧な殺人鬼がどのようにしてその殺人を露呈したのかが描かれている。

序盤ではごく普通の佐藤誠の日常が描かれており、関係者についても詳細に語られている。そこから連続首切り殺人事件が発生し、事件は迷宮入りするのだが…。数年後に佐藤誠が首切り殺人事件について自供する。なぜ、突然このタイミングなのか。本当に佐藤が首切り殺人事件を起こしたのか。ミステリアスな中で作中では詠坂というルポライターが登場し、独自の推理を繰り返すことになる。。

■ストーリー
86件の殺人を自供したシリアル・キラー、佐藤誠の物語。死体を発見されないように、完璧な証拠隠滅を図る手口で、事件そのものが発覚しない「完全犯罪」を成し遂げてきた彼が、なぜか、首を切断し、死体を残してしまい、証拠隠滅が不十分となった「遠海事件」。実録小説形式でその事件を綴る。

■感想
本屋の店長としてごく普通に生活する佐藤誠。中盤までは、佐藤誠が連続首切り殺人鬼だということはわかっていても、とてもそんな殺人を犯すような人物ではないように思えてくる。万引き少女に対して諭すような言葉を与え、その中学生に懐かれてもいる。

佐藤誠が勤めている書店が景気が悪くなり、社長と取締役で方向性について対立関係ができあがる。ここで突然、その取締役が首を斬られて殺される事件が起こる。その死体の第一発見者は佐藤誠だったのだが…。

刑事目線で事件の解決のための動きがある。ここで佐藤誠も疑われるのだが、強固なアリバイがあるために容疑者からは外されることになる。同時に発生したもうひとつの少女の首切り死体。それは取締役の子供だということまで判明していた。

結局は犯人は不明で迷宮入りすることになる。その後、探偵となんらかの絡みがあり、佐藤誠は自首することになる。ここから佐藤誠がどのように事件を起こしたのかを告白するのだが…。刑事目線と、ルポライター目線という複数の流れがある。

86人もの人を殺していた佐藤誠の真実が明らかとなる。なぜ最後の事件だけずさんに死体を放置したのか、その理由が明らかとなる。結局は作者である詠坂雄二が佐藤誠に対して自分の推理を展開するだけで物語は終わっている。真実は不明だが、説得力のある推理だ。

首切りという目立つ死体を残したのは、逆に佐藤誠が殺していないからという推理はすさまじい。それまでの86人の殺人というバックグラウンドがあるので、異常な殺人に対しての説得力が付け加えられている。

最後までミステリアスなことは間違いない。



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