玉三郎の「風を得て」 [ 真山仁 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
真山仁が坂東玉三郎へインタビューしたことをきっかけに、ふたりの関係が続いていったようだ。その流れで真山仁が坂東玉三郎の生涯?を描いている。そのままではなく多少のフィクションを交えているようだ。「国宝」が映画として大人気となっているので、歌舞伎については様々な方面からまた注目を受けているのだろう。
五代目、坂東玉三郎の生い立ちを描いている部分がかなり興味深い。梨園出身ではない玉三郎が養子となり苦労して成長していく物語だ。幼少期からその才能を認められ、本人も歌舞伎の世界に没頭していく。養父からはおごることなく謙虚になれと盛んに言われている。少しのおごりが見えると、途端に養父から激しく叱責される。玉三郎の実の両親はかなり胆力の持ち主だというのがわかる。
■ストーリー
稀代の女形、五代目坂東玉三郎。歌舞伎の家の生まれではなく、芸養子として梨園に入り、どう修業を積んでいったのか――その生い立ちは意外なほど知られていない。玉三郎と30年の交遊を結ぶ、小説家・真山仁が長年の対話を元に小説形式で描いた第一部「秘すれば花」。そして、玉三郎が傾倒する世阿弥の『風姿花伝』にちなみながら、玉三郎の哲学と美学の深淵に迫った第二部「その風を得て」。現代人に大いなる知恵を示す玉三郎の言葉の数々と、貴重な写真を収録した完全保存版。
■感想
玉三郎と作者のインタビューにより物語はスタートする。冒頭から、玉三郎はかなり忙しい人物であり、周りが必要以上に気をつかっているというのがよくわかる。玉三郎自身が真山仁のことを気に入ったことにより、頻繁にインタビューする機会が設けられることになる。
第一部は玉三郎をモデルとした人物の成長物語となっている。ポリオによる麻痺で体の一部がうまく動かせない。そのリハビリのために始めた日本舞踊で天才的な才能を開花し始める。
そこから養父に見初められ、養子となり5代目坂東玉三郎を名乗るまでになる。一般的な養子というよりは、芸事のために養子になるということだ。血筋として梨園で育ったのではなく、外から梨園に飛び込む形なので、そのプレッシャーは血筋とは違ったものがあるのだろう。
養父に厳しくしつけられ、出ていけと言われてしまう。出ていかないなら実の母親に迎えに来てもらえと言われた際に、実の母親が啖呵を切って帰ってこいという場面は強烈かもしれない。
第二部からは玉三郎と作者の対談から、漢字一文字をキーワードとしたエッセイ形式となっている。玉三郎自身の舞台感や人生についてが深く掘り下げられている。女方として大成功し、養子でありながら他の歌舞伎のプリンスたちとバッティングすることなくうまくスターとなれた理由。
梨園の世界では足の引っ張り合いのようなイメージがあったのだが…。圧倒的な才能があれば、それらを凌駕することができるのだろう。正直、坂東玉三郎という人物についてはほとんど知らない状態で読んだのだが、非常によくわかった。
養子に入り大成功した人物だ。