終戦のエンペラー


 2025.11.16    天皇が自らの戦争責任を明言【終戦のエンペラー】


                     
終戦のエンペラー【Blu-ray】 [ マシュー・フォックス ]
評価:3

■ヒトコト感想
マッカーサーが日本にやってきて戦争犯罪者をさばく。天皇を裁判にかけて適正にさばこうとするのだが…。マッカーサーの部下でフェラーズは10日という短い期間で天皇が戦争にどのように関与してきたかを調査しようとする。フェラーズは開戦前に日本に恋人がいた。ある意味で日本びいきであるフェラーズは、関係者に話を聞くことになる。東条英機や近衛文麿、木戸幸一などに話を聞いて、天皇の戦争犯罪について判断しようとする。

印象的なのは、当時の天皇の扱いがまるで神様のような存在だという部分だ。天皇が通る道沿いには、天皇の姿を見ないように後ろを向く人々が連なる。マッカーサーが天皇に面会する際に、事前に説明された注意事項はまさに神様に面会するような感じだ。

■ストーリー
1945年8月30日、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)を引き連れたマッカーサー元帥が、第二次世界大戦で降伏した日本に降り立った。直ちにA級戦犯の拘束に乗り出した彼は、知日家であるフェラーズ准将に、ある極秘任務を命じる。それは「この戦争における天皇の役割と、戦争の真の意味での責任者を10日間で突き止めろ」という内容だった。日本人女性と恋に落ちた過去を持ち、日本文化をこよなく愛しているフェラーズは、この任務を通して崩壊寸前の日本を助けようと決意。

さっそく東條英機元首相を始め、日本の元要人たちに次々と接触していく。だが連合国やマッカーサー、さらに日本側の思惑が複雑に絡み、調査は予想以上の困難を強いられていく…。果たして戦争を始めたのは誰なのか? 終わらせたのは誰なのか? そして、崩壊した日本の新たなる礎は、いかにして築かれたのか? 日本の運命を決定づけた知られざる物語が今、始まる。

■感想
終戦後、日本に乗り込んできたマッカーサー。その目的は戦争犯罪者を処罰するため。多くのA級戦犯が自決していた。昭和天皇の戦争犯罪を処罰することも大きな目的だった。天皇を裁判にかけるための調査を部下であるフェラーズへ依頼する。

それも10日間という短期間で。ここで日本になじみのあり日本びいきであるフェラーズは、フラットな状態で天皇の戦争犯罪を調査するのだが…。東条英機や近衛文麿にヒアリングして天皇の戦争責任を判断しようとする。

最も重要なヒアリング相手は木戸に対してだ。そこで降伏を決断するまでの内部での話し合いの場で、天皇が最終決断をして降伏を実現した。さらには天皇として日本が負けたということを日本国民に伝えるための録音を行った。

この録音盤を陸軍が奪い取ろうとしたなどの内乱がある中で、天皇の意義というものが強調されている。天皇がアナウンスしなければ、日本人の大半が反乱やテロを起こそうとしていたと予想されている。開戦時のことよりも、終戦時での天皇の役割を評価しているような感じだ。

強烈なのはマッカーサーが天皇に面会するまでの過程とその場面だ。天皇が外国人と会うために外にでることが初めてだということ。また、マッカーサーに対しての注意事項がすさまじい。目を見て話してはダメ。体に触れてはダメ。天皇はその場では飲み食いしない。真正面に立つことはダメ。

まさに普通の人間としての扱いではなく、神のような存在として扱うということ。それを理解してマッカーサーは天皇に面会するのだが…。その場で、通訳と天皇とマッカーサーだけで会話するシーンでは感動の場面がある。天皇が自らの戦争責任をはっきりと明言するのが強烈だ。

ラストの場面は強烈だ。



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