システム・クラッシャー


 2026.4.15    福祉システムを破壊する9歳の少女【システム・クラッシャー】


                     
システム・クラッシャー【Blu-ray】 [ ノラ・フィングシャイト ]
評価:3

■ヒトコト感想
強烈な作品だ。タイトルのシステム・クラッシャーというのはドイツの児童福祉の制度が整っている国でその手厚い児童福祉システムを破壊する9歳の少女ベニーのことを描いている。ベニーの暴力衝動と情緒不安定具合はすさまじい。実の母親がお手上げ状態にあり、すべてを福施設側に丸投げする。ベニーは母親と暮らすことを望んでいるのだが…。

ベニーが癇癪をおこすと、母親はなすすべなくオロオロし警察を呼ぶしかない。福祉側の大人たちの中には、お手上げの者もいれば、なんとかベニーを改善させようと必死になる者もいる。精神病院に入院させるにしても年齢が若すぎるというのが強烈だ。福祉施設側の大人たちが気の毒に思えてくるほどのベニーの暴れっぷりだ。

■ストーリー
嵐のような9歳の女の子ベニー。幼少期、父親から受けた暴力的トラウマ(赤ん坊の時に、おむつを顔に押し付けられた)を十字架のように背負い手の付けようのない暴れん坊になる。里親、グループホーム、特別支援学校、どこに行こうと追い出されてしまう、ベニーの願いはただひとつ。かけがえのない愛、安心できる場所、そう!ただママのもとに帰りたいと願うだけ。しかし、精神的に追い詰められた母親のビアンカはベニーに対して強い愛情は持ちながら、どのように接して良いのか皆目見当つかず。

自責の念に駆られながらも、彼女を施設へ押し付け、ベニーのふたりの弟妹の悪いお手本にならないよう遠ざけることだけで精一杯。施設職員や医師も何とかベニーを落ち着かせようとあらゆる手段を試みるが、その傷はますます深くなるばかり。どこにも居場所がなくなり、解決策もなくなったところに、非行少年相手の更生仕をしている非暴力トレーナーのミヒャは驚くべき提案をする。ベニーを森の中深くの山小屋に連れて行き、自分と二人きりで過ごす隔離療法を受けさせること。その期間は3週間。施設に一日たりとも落ち着けないようなベニーに対して、ミヒャはどのような秘策を講じ、ベニーを怒りの渦から解放させようとするのだろうか…。

■感想
ベニーは手がかかる子供の域を超えている。癇癪を起すと誰も止めることができない。9歳と言えどもその暴れっぷりはすさまじい。母親と会いたい思いは強い。機嫌のよい時は、ごく普通の可愛らしい9歳の少女でしかないのだが…。

一度拒否されたり、自分の思い通りにならないと、激しく暴れ始める。母親の住む家に押しかけ、一緒に暮らすことを求めるのだが…。拒否されると激しい攻撃性を見せ、実の弟たちにも悪い影響を与える。母親はもはやなすすべなく、ただ警察を呼ぶしなかない状態なのは強烈だ。

福祉施設の大人たちもお手上げ状態だ。通学補助のミシャだけはベニーを改善させようと必死になる。ふたりだけで山奥の山小屋で原始的な生活をしようとする。普段と違う生活にテンションが上がるベニー。そしてミシャのことを気に入り、そこからふたりの関係性は密接となるのだが…。

ミシャは入り込みすぎており、自宅にベニーを連れてきたりもする。ミシャの妻は身重な状態であり小さな子供もいる。ベニーが癇癪を起して子供たちに危害を加えないかとハラハラドキドキしてしまった。

ベニーを引き取るはずの母親は、結局はベニーを引き取れないと福祉の職員に告げる。弟がベニーのようになることを恐れ、ベニーの癇癪も恐れている。ベニー本人にそのことを伝えることも恐れている母親。もはやベニーは母親に見捨てられたということだ。

ミシャもお手上げ状態となり…。ベニーのような存在は作り上げたシステムを壊す存在でしかない。福祉の職員たちはベニーが成長するのを待ち、精神病院へといち早く入れることを望むしかないのだろう。

ベニーの癇癪具合は、大人であっても恐ろしくなる。



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