ソウルの春【Blu-ray】 [ ファン・ジョンミン ]
評価:3.5
■ヒトコト感想
実際に起きた韓国のクーデターを、多少の脚色を加えて描いている。かなり強烈なインパクトがある。ことの発端は陸軍のトップであるサンホ大将とチョン少将の争いが元だ。ハナ会のリーダーであり不正をやりたい放題のチョン少将。それを目障りだと感じるサンホ大将は、チョン少将のわいろを拒否し、人事異動で更迭するとチョン少将に告げる。
チョン少将とハナ会。それとは別に高潔なイテンシ少将など、チョン少将との対立者は多い。それでも強引と思えるチョン少将の手腕と、最終的にはすべてを武力で抑え込んでしまう胆力がすさまじい。この手の流れであれば、最終的に軍事クーデターは失敗し、チョン少将は逮捕されるか殺されるのかと思いきや、そうならないのが、事実に基づいているからだろう。
■ストーリー
クーデターを起こした権力の亡者に、一人立ち向かった信念の男ソウルに銃声が響き渡った日。あの夜の戦いで、本当は何が起きていたのか?1979年10月26日、独裁者とも言われた大韓民国大統領が、自らの側近に暗殺された。国中に衝撃が走るとともに、民主化を期待する国民の声は日に日に高まってゆく。
しかし、暗殺事件の合同捜査本部長に就任したチョン・ドゥグァン保安司令官(ファン・ジョンミン)は、陸軍内の秘密組織“ハナ会”の将校たちを率い、新たな独裁者として君臨すべく、同年12月12日にクーデターを決行する。一方、高潔な軍人として知られる首都警備司令官イ・テシン(チョン・ウソン)は、部下の中にハナ会のメンバーが潜む圧倒的不利な状況の中、自らの軍人としての信念に基づき“反逆者”チョン・ドゥグァンの暴走を食い止めるべく立ち上がる。
■感想
韓国でソウルの春という民主化の時代がやってきたと思わせておきながら、すぐに軍事クーデターが起こる。本作では、軍事クーデータが起きるまでがドラマチックに描かれている。陸軍内部で巨大なネットワークを誇るハナ会。そのトップであるチョン少将が大きな戦力を握る。
やりたい放題で上司であるサンホ大将に賄賂を贈るのだが拒否されたりもする。不正を嫌い高潔なサンホ大将。対してなんでもありなチョン少将。この対立から大きなクーデターへと変化していく。
チョン少将がサンホ大将を誘拐し監禁する。それは前大統領の暗殺容疑だった。その正当性を示すため大統領から承認をもらおうとするのだが…。陸軍のトップが誘拐されたということで陸軍内部では大騒ぎとなる。チョン将軍率いる反乱軍と正規の陸軍の駆け引きがすさまじい。
北朝鮮との国境を警備している軍隊をソウルに向ける反乱軍。対して正規軍は様々なつてで自分たちの軍を動かそうとする。この手の戦争では少しの裏切りや変化が戦局に大きな影響を与えることになる。二転三転する流れがすばらしい。
どの軍団がどちらにつくのか。最終的には国防大臣を手に入れた方が勝つ。この手の軍事クーデターとチョン少将の小物感や、周りとの関係などを見ると、間違いなくチョン少将が負けて、高潔なイテシン少将側が勝利すると思われたのだが…。
現実に即した結末となるため、驚きの結末だ。まさかそのままチョン少将が大統領から承認をもらい、陸軍を掌握してしまうとは思わなかった。不正を嫌うサンホ大将は逮捕監禁され、イテシン少将は拷問を受けたりもする。
ラストの結末は驚いた。