心霊電流 下 (文春文庫) [ スティーヴン・キング ]
評価:3
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■ヒトコト感想
成長し大人となりミュージシャンとなったジェイミー。ここで再びジェイコブズと再会する。上巻では電流治療で教祖的な扱いを受けてきたジェイコブズ。下巻でもその能力は落ちることなく、様々な難病の患者を聖なる電気で治してきた。そして伝説となったジェイコブズなのだが…。実はジェイコブズが治療してきた様々な人物のその後を追いかけている者がいた。
何かしら不審な死を遂げた人物たち。自殺や殺人者など普通ではない。ただ、数十年経っているというのも微妙なところだ。作中ではラストにジェイコブズの治療を受けた者は何かしら脳に影響を受けているという結論になっている。どんな難病でも治してしまうジェイコブズは、病気に苦しむ人からすれば神様のように思えるのだろう。
■ストーリー
ミュージシャンとなった僕は、元牧師の“電気治療(ヒーリング)”のおかげでヘロイン中毒を克服していた。だが後に、彼の治療を受けた一部の人たちが後遺症に苦しんでいる実態を知る。僕は「ヒーリングをやめるべきだ」と進言するが、彼は“神秘なる電気”の研究にのめりこんでいき……。ジワジワと襲う恐怖、ホラーの帝王、面目躍如の巨編!
■感想
上巻で元牧師は家族を不幸な事故で失い、自暴自棄となる。その後、奇跡の電気治療で教祖となる。ジェイミー自身もヘロイン中毒をジェイコブズの電気治療で克服していた。それ以外にも驚きの治療がある。世間では決して治らない難病とされていた病気もジェイコブズの電気治療で治してしまう。
たちまち話題となり全国各地からジェイコブズの治療を求めて人々がやってくる。高齢のジェイコブズではあるが、それでも善意で治療し続けるのだが…。絶対に何か裏があると思われる流れだ。
ジェイコブズの治療を怪しいと考える者がいた。過去にジェイコブズに治療された者が数十年後にどうなっているのかを追いかけると、驚きの結末が待っていた。自殺していたり家族を殺して自殺していたり。。誰もが異常な行動の結果死んでいた。
これがすべてジェイコブズの治療が原因なのか。。。ジェイミーは直接ジェイコブズにそのことを突きつける。ただ、どうなのだろう。世の中で余命数年の難病に苦しむ人がいたとして、最後には悲惨な状態になるとしても、数十年も寿命が延びるとしたら。。。ジェイコブズを否定することは難しい気がした。
ラストではジェイコブズの真の目的が明らかとなる。過去に家族を失っていたトラウマがあり、死者と話をすることを最終目的としている。ひん死の女性が死ぬのを待ち、その後、高出力の電気を利用して死者を蘇らせようとする。
そのためにはジェイミーが重要なカギとなるのだが…。死者を蘇らせ、ジェイコブズは死んだ家族と会話をしたいと考えていた。もはや異常をとおりこして、マッドサイエンティストだ。死者との通信を行うというのは絶対に悪い結末しかない。
強烈な物語だ。