新 謎解きはディナーのあとで2【電子書籍】[ 東川篤哉 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
新シリーズの第2弾。今回もお嬢様の推理に対して執事が辛辣な言葉を浴びせかけるパターンだ。基本は事件が発生し、風祭警部が独自の推理を行う。執事はただお嬢様からの話を聞くだけで事件の秘密を暴いてしまう。パターン化されているので新鮮味はない。このシリーズのファンであれば楽しめるだろう。
印象的というか、このシリーズにしては複雑なトリックが描かれていたのは「服を脱がされた男」だ。河川敷に服を脱がされた全裸の死体があった。なぜ服を脱がせる必要があったのか。この部分の説得力がしっかり描かれているのが良い。適当な理由で服を脱がしたのではない。身元を隠す以上にそうしないとダメな決定的な理由があった。すべてを看破してしまう執事がすさまじい。
■ストーリー
「お嬢様の素晴らしすぎるお考えは、残念ながら『休むに似たり』でございます」1笠原邸の殺人自宅にて、絞殺死体で発見された資産家の老人。現場にはなぜ割れた大皿が散らばっていたのか。2灰色の血文字。アイドルの撮影中にスタジオで芸能事務所の社長が殺された。ダイイング・メッセージらしき血文字”アキラ”の意味は?3浜辺のパラソルの問題。別荘のある島での婚約披露パーティに招かれた麗子と影山。しかし、主役がビーチパラソルの下で死体となって見つかる。
4服を脱がされた男。多摩川の河川敷で全裸の変死体が発見された。犯人はなぜ被害者の衣服を奪ったのか。5四回殺された女。ワンルームで見つかった若い女の首吊り死体。殴って絞めて刺して吊るして――前代未聞の殺し方の理由とは!?”迷”推理を繰り広げる風祭警部に、”空気読めない”後輩の愛里ちゃん。2人に振り回されながら、麗子は影山と5つの難事件に挑む!
■感想
「灰色の血文字」は、芸能事務所の社長が何者かに殺され、ダイイングメッセージを残していた。血文字で書かれたアキラという文字。普通に考えるとアキラという人物が犯人と思うのだが…。今時ダイイングメッセージというのは、なかなかない。
社長がタバコを吸っていただとか、別の銘柄のタバコが死体のポケットにあったとか。ダイイングメッセージとは異なる部分にヒントが多数詰め込まれている。パワハラ社長というイメージが、実は違っていたなど、ラストで驚愕な真実が明らかとなる。
「服を脱がされた男」は、服を脱がす必然性をどのように説明するかがポイントなのだろう。身元を隠すためだけに服を脱がすことはありえない。河川敷の死体は誰がなんの目的で服を脱がせたのか。風祭警部がまっとうな推理を展開するが、それをお嬢様が執事に伝え、次の瞬間には、執事がお嬢様を罵倒しながら新たな推理を展開する。
実は複雑な経緯で服を脱がす必要がでていた。実はある人物を殺そうとして、それが失敗したことで、服を変えざるお得ないというのは強烈だ。
このシリーズは永遠に続けることができるのだろう。ただ、面白味はないのかもしれない。基本的にはキャラクターに魅力があるのがすべてなので、キャラクターが飽きられると厳しいのだろう。お嬢様と上司の風祭警部。そして、新人の女性刑事。
恐らくだが、このシリーズを続けていくためには、てこ入れで別のキャラクターを登場させる必要があるだろう。影山の活躍度も次第に薄れているので、もう少し財閥のお嬢様という部分を強調する必要があるのかもしれない。
シリーズとしてはかなり厳しいの感じだ。