疾風ガール (光文社文庫) [ 誉田哲也 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
バンドのギタリストである夏美と、夏美をスカウトしようとする芸能プロダクションの宮原の物語だ。男三人でギタリストの夏美というバンド構成のペルソナ・パラノイア。コアなファンがおり有名になりつつあるのだが…。夏美の才能が際立っており宮原の目に留まる。バンド内部での才能の違いというか、際立った才能が他者に与える影響について遠回しに描かれている。
物語としては中盤からボーカルの薫の自殺というショッキングな展開があり、薫の素性が不明だとわかり、それを探るミステリアスな展開となっている。最後まで薫の自殺の原因ははっきりしないのだが、おぼろげながらに自分の才能と夏美との違いに絶望した末の自殺という臭わせ方をしている。
■ストーリー
柏木夏美19歳。ロックバンド「ペルソナ・パラノイア」のギタリスト。男の目を釘付けにするルックスと天才的なギターの腕前の持ち主。いよいよメジャーデビューもという矢先、敬愛するボーカルの城戸薫が自殺してしまう。体には不審な傷。しかも、彼の名前は偽名だった。夏美は、薫の真実の貌を探す旅へと走り出す――。ロック&ガーリーな青春小説の新たな傑作!
■感想
話題のバンドの中で、抜群に目立つ存在である夏美。それを見て、本来ならロリ居乳ばかりをデビューさせて人気を得ていた芸能事務所のスカウトマンである宮原が、夏美をスカウトしようとする。序盤ではスカウトマンは、最後までスカウトした人材の面倒を見る必要があり、うまくいかない場合は貴重な女性の一番良い時期を無駄に浪費させたという責任が重くのしかかる。
会社の方針とは異なる人物ではあるが、圧倒的な夏美の魅力に打たれた宮原はスカウトしようと夏美に付きまとうことになる。
バンド内部での才能の違いが残酷に描かれている。作中では才能ある人物がバンドを抜けて羽ばたくのをしょうがないことだと諦めているようなふしすらある。中には陰口をたたく者もいるかもしれないが、基本的にはバンドとはそういうものだという共通認識があるようだ。
人の目を引くギター。ビジュアルがずば抜けているボーカルの薫。音楽性については後からバンドに参加した夏美が主導権を握るようになる。作中では薫は感情を表に出すことが苦手なタイプかと思われたのだが…。突然の薫の自殺がミステリアスな展開のスタートとなる。
実は薫の本名は誰も知らずすべてが偽名で実家がどこかも誰も知らなかった。不可解な薫の自殺も相まって、夏美と宮原が薫の出自を調べることになる。このあたりのミステリアスな展開が続いていくと、どこかで実は自殺ではないのでは?という流れを期待したのだが…。
薫の自殺という事実は変わらなかった。では、なぜ薫は自殺したのかというのがラスト間近で語られている。薫のそれまでの性格描写からは想像できない、突飛で衝動的な行動だという印象しかない。
才能の違いが如実に現れる残酷な世界だ。